古民家の屋根裏は味噌蔵として最適、のはずなんですが…
信州味噌を手作りしている我が家では、毎年、節分の前後に米麹と大豆で味噌を仕込み、真夏に“天地返し”をします。
放ったらかしにしておくと熟成にムラができてしまうため、上と下を引っ繰り返すようにして入れ替えるんですね。
後は古民家の屋根裏に瓶を並べて保存します。
3年寝かし、熟成が進んだところでフタを開けて中身を取り出します。
昼なお暗い古民家の屋根裏は、外気が35度を超えても25~26度をキープ。藁葺き屋根が直射日光を防ぎ、土壁と屋根の隙間から新鮮な空気が絶えず入ってきます。
麹菌の発酵には絶好の環境なのでしょう。毎年、香り高い“手前味噌”ができあがります。
ところが、今年の夏の“天地返し”では、ちょっとした異変が起きました。
屋根裏から降ろした瓶のフタを外し、重しと表面を覆うラップを取ったら、味噌(のなりかけ)の表面に、普段の年の数倍もカビが生えていたんです。
梅雨が去年より1ヶ月長く続いたせいで、カビが活性化したのだと思います。
スプーンで表面に付いたカビをきれいに取り除き、瓶の内側も改めてエタノールで消毒してから、しゃもじを使って味噌を掻き混ぜました。
新しくラップを張って重しを載せ、瓶の口を厚紙で塞いでフタを閉じます。
これで天地返し完了。多少のカビが残っていたとしても、麹菌が食べ尽くしてくれるでしょう。
味噌作りにおいて天地返しは「端折ってもいいプロセス」と言われますが、成長途中の味噌の“健康診断”のためには、やはり欠かせないなと思いました。