安曇野の“水争い”の歴史をたどるニッチなツアーに参加しました
安曇野といえば、豊富な地下水が一帯を潤し、米作はもちろん清流を利用したワサビ作りがさかんな土地として知られています。
私も、てっきり太古の昔から豊かな穀倉地帯として栄えてきたのかと思っていましたが、じつは北アルプスの火山岩や石ころが大地を覆い、元来は耕作に不向きな土地も少なくなかったのだそうです。
その岩だらけ石だらけの荒れ地に川の水を引いて耕し、どうしても作物が育たないところには他所から土を運び入れ客土までして、少しずつ耕作地を増やしていったのだといいます。
そんな安曇野の耕地開拓の歴史と、水利権をめぐる村人たちの“水争い”の歴史を、各地に点在する遺構を訪ねながらたどる…というマニアックなツアーが開かれました。
題して「命の水を確保せよ!千年流れ続ける用水路と田んぼの物語」。
松本の小さなツアー会社が企画した約2時間30分のウォーキングツアーで、定員10名のところ9名が集まり、先日、無事開催されました。
参加料は1500円。地元出身の元博物館長さんがガイドに立って、烏川(からすがわ)流域から大庄屋・山口家周辺に至る江戸時代の遺構---五カ堰取入口跡、五カ堰分水口跡など、川の水を集落に引き込むためのさまざまな工夫の跡を見て回りました。
「隣の集落より10メートルでも川上から水を分流したい」という村人同士のつばぜり合いが、ついには暴力沙汰に発展して松本藩が介入する騒ぎになった、ちょうど川の中州のこのあたりで取っ組み合いの喧嘩があったらしい…などなど、相当ディープな郷土史を見て聞いて楽しませていただきました。
あいにくの雨模様でしたが、参加者はみなさん“安曇野愛”に溢れているのか、それはもう本当に熱心に耳を傾け、熱心に質問していらっしゃいます。
世の中にはとんでもなくニッチなツアーがあるもんだな、と感心しきりの“小さな旅”でした。