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あっぱれ!「土間」の“曖昧力(あいまいりょく)”

 いま、私たちは農作業の用具や囲炉裏の燃料置き場として土間を活用しています。

 野菜を貯蔵したり、保存食作りの作業場として利用することもあります。

 夏の暑い日に郵便屋さんが汗だくで配達にやってきたら、上り框に腰掛けてもらい、冷たいお茶を差し上げます。外が35度近くあっても、土間は25度内外です。常にひんやりしていて、スッと汗が引いていきます。上り框は茶飲み話にはもってこいの憩いの場です。

 構造上は完全に建物の内部にあるわけですから明らかに“内”なんですが、土足で出入りできるという点からみれば、土間はむしろ“外”の世界につながっているようです。

 事実、ご近所の方々をはじめ、郵便屋さん、宅配便のお兄さん、銀行や信金のおじさん、保険のおばさん、町役場の担当者、果ては道に迷った人や宗教の勧誘員まで、我が家にやってくる人たちはみんな、

 「こんにちは~」

 と挨拶もそこそこに、玄関の引き戸をガラガラと開け、そのまま土間へ入ってきます。

 「ご自由にお入りください」と看板を出しているわけではありません。なのにみなさん、そうするのです。誰もが直感的に土間までを“外”、上り框から先を“内”と捉えているのでしょう。

 そういう感覚にさせる力=“曖昧力(あいまいりょく)”が土間にはあると思います。内と外との境界線を曖昧にして、人と人、客人と家人をつなぐ不思議な力……それが土間の魅力ではないでしょうか。

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テーマ : スローライフ
ジャンル : ライフ

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管理者にだけ表示を許可する

立派ですね

こりゃまた立派な綺麗な土間ですね。
近所の土間は土が黒光りしています。

さてさて、法律上では許可無くして侵入した場合
不法侵入となります、ここで許可というのは
「ゴメンください>どうぞ」これで許可と見なされます。
よってこの手の土間の有るところで、ポストなどがなく
不在の場合は、不在表が扉に挟んであったり、
そのまま土間に置いてあったりします。
法律を知っている人はこうせざろう得ないのです。
 ところが近所の人の場合、回覧板が上がり端にしっかり置いてあります。
 しかし考えてみれば鍵を掛けるというのは泥棒がいるためで、
そう言う輩がいなければ別に鍵は必要がありません。
 田舎では不在時も無施錠が多いのですが、今はそういう信頼関係が
損なわれているのが現実です。
 あづみさんはそう言う意味で心が広いと言うことになります。


田舎人さま

お褒めいただいて恐縮です。

たしかに世の中、
日中でも鍵をかけるのが当たり前になってしまいました。

私たちも都会暮らしの時分には
施錠を怠りませんでしたが、
ここの暮らしには、

 ガラガラガラ~♪
 「こんちわ~」「いらっしゃい」

が、ごくあたりまえで自然な感じです。
そういうことが普通に出来るようになった
安曇野の田舎暮らしに
とても感謝している毎日です。

土間の意匠

ふむむむむ。曖昧力ですか。おもしろい。

靴を履いて入れる空間ならば侵入しても問題ないと考えるのでしょうかね。縁側も、玄関も、土間も、思えば全部靴を履いている空間です。

民家の本では、お客さんは式台や縁側からあがったと書いてあります。大戸口は居住者だけが使うもので、土間は作業空間だと。確かに、式台や座敷は人が来てもいいように意匠を整えています。でも、土間や広間も意匠について目を見張るようなものは存在します。土間、広間境だからこそできるせいの高い垂直性のある壁、曲がり梁をつかったダイナミックな見上げ、木太い大黒柱、それらは座敷のような軽快な空間と違って建物の重厚な存在感を訴えかけているように感じるのです。土間でも意匠が考えているのなら、それは人目を気にしたということですから、接客空間として使われたんじゃないかと思っていました。あずみさんの書き込みを見て、やはり土間は接客空間だったんだと分かり、胸のつっかえがとれた気分です。

公開されている建物だけを見ていても、使い方がよくわからないので、大変勉強になります。

teichan.comさま

ありがとうございます。

私たちの家は、いわゆる“百姓家”で玄関がひとつしかありません。

これが町屋なら玄関と勝手口が分かれていて、日々の出入りは勝手口から、ということにもなるのでしょうが、唯一の出入り口が玄関なので、導線がここに集中してしまいます。

百姓家は実用優先で、格式張った作りを取らなかったのだと思いますが、そんなこともあって、家族やお客様はもちろん、どうかすると近所の犬や猫もここから(堂々と)入ってきます。

農村の民家というのは、本当におおらかにできていたんですね。
プロフィール

あづみ

Author:あづみ


都会から安曇野の古民家に親子3人で移住しました。夏涼しく、冬は想像を絶する寒さですが、ハラを括って暮らせば何とかなるものです。

その後、縁あって畑付きの田舎家をゲット。現在は山中の古民家と里の家とを行き来する日々です。

安曇野に興味のある方、また古民家に暮らしたいと思っていらっしゃる方、よろしかったらお立ち寄りください。

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