モズが高鳴く晩秋は、猟奇の気配がじわじわと…
畑の外れで、モズがしきりに鳴いています。
「♪キキキキキキキキ~キ~キィ~キィ~」
朝から、甲高く引きずるような声音で鳴き続けています。
じつはこれ「モズの高鳴き」といって、越冬を前に「ここは自分の縄張りだ!」と仲間に示威しているんだそうです。
いかにも自己主張してるって感じの、激しいさえずりです。
声を頼りにそっと近づいてカメラを向けると、メスのモズが1羽、こちらをキッと睨み返して飛び去っていきました。
そのモズが止まっていた枯れ木の枝に、緑色のものが付着しています。
木の実かな?と思ってよく見たら、うわっ!小さなアマガエルが手足を奇妙な格好にねじ曲げて止まっているじゃありませんか!!
いやいや、止まっているんじゃなくて死んでいるのでした。枝の股にギュッと圧迫されたような感じで押しつけられ、息絶えていました。
これが、かの有名な「モズの速贄(はやにえ)」です。
捕らえた獲物をとりあえず木の枝に串刺しにしたり、こうして枝の隙間に押し込んだりするのですが、食べずに放ったらかしにして、そのうち忘れてしまうことも多いといいます。
何故、こんな残酷な振る舞いをするのか、研究者の間でもわかっていないんだそうです。
とはいえ、速贄は冬を控えたこの時期に見かけることが多く、やっぱり食糧確保のつもりでやっているんじゃないかな、という気がします。
モズは可愛い顔して結構、猟奇的なハンターなんですね。