昔むかし、古民家ブームがあったと…

バブル経済全盛期、古民家は右から左に売れたそうです
「古民家ブーム」が時代を席巻したのは、いまから20年ほど前、バブル経済の終わり頃でした。
カネ余りの世相を反映して、キャッシュを握りしめた都会モンが田舎へ田舎へと押し駆け、空き家になった古民家を凄い勢いで買いあさったといいます。
ブームの波は安曇野にも押し寄せました。当時を知る不動産屋さんの話では、山間部に建つ廃屋同然の民家も、数千万円の売値を付けて店先にチラシを貼っておけば、1ヶ月とたたないうちに売れたそうです。
買い手は首都圏や名古屋周辺の人で、自営業者が多かったようです。
とにかく右から左に売れていくので、不動産屋さんも近隣を回って積極的に古民家探しをしたといいます。当時は今より状態のいい建物が残っていたため、「高価格でも確実に売れるから」と渋る地権者を説得。結果として優良物件がそれなりに出回ったそうです。
インターネットがない時代、“もの好き”な都会モンは出物を求めて田園地帯の旧国鉄駅周辺を歩き回り、不動産屋を見つけると一目散に駆け込んで「古民家ない?」と聞いて回ったといいます。
でも、バブル崩壊とともにブームはあっけなく終わりました。90年代の半ばぐらいまでは、まだ勘違いして高価格で売り出される家もあったようですが、当然ながら買い手は付かず、塩漬け→荒廃の道をたどりました。
以来、今日まで古民家の価格は下がりっぱなし。現在は当時の半値から数分の1、場合によっては数十分の一で取り引きされています。
建築史的な価値だとか由来などを一旦脇に置いて冷静に考えれば、古民家と言ったって、要はオンボロ家屋なわけです。二十数年かけてやっと常識的な価格に落ち着いたといえるんじゃないでしょうか。

ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします。