究極?の薪割り機「キンドリング・クラッカー」
安曇野の寒い冬を薪ストーブだけで過ごすとしたら、一体、どれぐらいの薪が必要なのでしょうか?
里の家に暮らし始めて最初の冬を迎えた私たちにとって、ぜひとも知っておきたい生活情報です。
ご近所に聞いて回ったのですが、薪ストーブの大きさや設置数がまちまちで、じつのところよくわかりません。
薪ストーブと床暖房を併用しているお宅もあって、単純比較が難しいんですね。
そこで地元の薪ストーブ専門店に話を聞きに行きました。
「ここらの標準的な薪の消費量は、1シーズン5トンぐらいだねぇ」
店主は親切にそう教えてくださいましたが、はて、5トンとは全体、どの程度のボリューム感なんでしょうか? 見当もつきません。
「5トンというと、大体450束ぐらいかな。1束ってのは、よくキャンプ場なんかで薪を針金で束ねてあるでしょ。あれ1つ分のこと。そいつが450束ぐらい必要だってことだねぇ」
しかも、生木を輪切りにした後、オノで縦に分割して、最低でも一夏は乾燥させなければいけないといいます。
実際とんでもない量が必要だということがわかったところで、里の家に戻って納屋に積み上がった薪をチェックしました。
前のオーナーさんが置いていってくれた薪は、すでに数年が経過してカラカラに乾いています。量もそこそこありそうです。
大部分の薪はちょうどいいぐらいに割ってありますが、中には丸太もちらほら混じっています。このままではストーブに放り込めそうもありません。
そこでオノの登場と相成るわけですが、以前、野良仕事をしていてナタで足の甲を割った経験がある私としては、オノを振り回すのはちょっと不安なんですね。
もっと安全に、横着して丸太を縦に割る方法はないものかな?…と思って調べてみたら、あるんですねぇ。世の中には便利なグッズが。
それがこちら。「キンドリング・クラッカー(Kindling Cracker)」なるモノです。
キンドルとは「薪に火を付ける」、クラッカーは「割り機」…つまり「薪割り機」ぐらいの意味だと思います。
ニュージーランドの13歳の女の子、エーラ・ハッチンソンちゃんが、お母さんの薪割り仕事の負担を軽くするために考え出した“発明品”とのことで、オーストラリアで製造され、日本の通販サイトでは1万5,000円前後で売られています。
さっそく買ってみました。1万3,640円しました。
箱から出てきたのは、重さ4.8キロある円筒形の鋳物です。素通しの筒状の本体にオノ状の刃が空を向いて固定されています。
鋳物の本体だけでは安定しないので、ちょうどよい大きさの切り株を台座にして、そこに8ミリのボルトで固定して使います。
丸太もボルトも別売。いかにもオージー製らしい大雑把な商品ですが、作りは見るからに頑丈そう。十年でも二十年でも楽勝で使い続けられそうです。
薪屋さんから様子の良い台木の切り株を分けてもらい、ボルトで固定して作業をスタートしました。
本体の上から丸太を差し込み、丸太の頭をハンマーでガンガン叩きます。
すると、本当にあっけないほど簡単に丸太が二つに裂けるんですね。
二分割してもまだ大きい時は、割れた薪を再度、本体に戻してハンマーで叩きます。薪ストーブにちょうど良い厚みになるまで、これを繰り返します。
少し重めのハンマーを使いますが、それでもオノを力いっぱい振り下ろすのに比べたら、まったく省エネで、しかも怪我の心配がありません。
みるみるうちに地面に薪が積み上がっていきます。
たとえハンマーといえども作業を繰り返すうちには汗を掻きますが、正直、これは超便利だと思いました。
薪割りに難儀している方には、おすすめですよ。