太古のトラクターをオーバーホールして、畑へGO!
里の家を前オーナーさんから引き継いだ昨年初めのことです。古びたガレージのシャッターを開けて仰天しました。
ガレージの隅に古いトラクターが1台、鎮座ましましていたんです。
前のオーナーさんから「使える耕耘機があるよ」という話は聞いていたんですが、まさかこんなにデカイ機械だったとは!
しかもこれ、耕耘機じゃなくてトラクターなんですけどね。
試しにイグニッションキーを回しましたが、ウンともスンとも言いません。とっくの昔にバッテリーが上がってしまったんでしょう。
全体に古ぼけてはいますが、ざっと点検したところ部品の欠落や目立った腐蝕はなさそうです。それなりに手入れをされてきた様子がうかがえます。
小さな耕耘機でエッチラオッチラ耕すことを考えたら、こいつで一気に鋤(す)き込んじゃったほうが断然、畑仕事は楽なはずです。
そんなわけで、製造元のクボタのディーラーに連絡してメンテナンスに出すことに決めました。
ところがどっこい。
やってきた営業マンは、一目見るなり、
「うわぁ、これは年代物ですね!」
驚きの声を上げて、
「部品があるかなぁ~」
眉間に皺を寄せて考え込んでしまいました。
それもそのはず、このトラクター、クボタ製というだけで製造年度も基本スペックもな~んにもわからないほど古かったんですね。
やってきた営業マンも、
「たしか実家のじいちゃんがこれと同じのに乗っていましたねぇ」
と言うばかり。
部品がないから直せないと言われたらお終いなので、拝み倒して工場へ運んでもらいました。
数日後、
「中古の部品が見つかったので、何とかなりそうです」
という頼もしい連絡が入りました。そこでバッテリーとオイルの交換だけでなく、錆取りや腐蝕しかけた部分の溶接まで、まとめて依頼しました。
1ヶ月後、戻ってきたのがこちら。クボタL3001です。
ネットでググっても正確な諸元はわかりませんでしたが、どうやら1976年頃に製造された30馬力4気筒のディーゼル車らしい、ということまで突き止めました。
1976年といえば、ロッキード事件が起きた年。初代ホンダ・アコードが発売され、海外ではボンド・カーに採用されたロータス・エスプリや、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンが颯爽と登場した年です。
その同じ年に、このトラクターは産声を上げたんですね。
いやはや、たまげた。クルマだったら自動車博物館に陳列されていても不思議じゃないのに、こいつときたら40年間、畑で泥まみれになりながら今日に至ったのです。
ミョ~な感動を覚えてキーを回すと、エンジンは一発でかかりました。よしよし。ギアやブレーキの調子もよろしいようで、「直してもらって良かった!」と納得した次第です。