日帰り温泉ラバーのニーズを満たした安曇野の新名所「しゃくなげの湯」
2016年10月3日、安曇野市に日帰り温泉施設「しゃくなげの湯」がグランドオープンしました。
すぐ近くにあった市営「しゃくなげ荘」の老朽化に伴い、その後継施設として安曇野市が造成した本格温泉です。役割を終えた旧しゃくなげ荘はクローズしました。
“本格”というのは、泉質が極めて良いことで知られる北アルプス燕岳麓の有明温泉を源泉にしているから。69.3度のお湯が約19キロに渡って引湯するうちに自然に冷めて、しゃくなげの湯には55度ぐらいで到達するそうです。
加水・循環濾過している点は少々、残念ですが、それでも肌にやわらかい上質のアルカリ性単純温泉で、よく温まります。
オープン当初は押すな押すなの大盛況。駐車場は昼前から満車状態が続いていました。
私たちが利用できたのはようやく先週末のこと。混雑を避けて午後早い時間帯に暖簾を潜りましたが、すでに結構な人出でした。
観光街道・山麓線に面した母屋は、ぴっかぴかの新築です。外壁には、2020年の東京オリンピックを見越して新たにデザインされた“家族のシルエット入り温泉マーク”が。外国人観光客の来場を期待してのことでしょうか。
前身の「しゃくなげ荘」は、隣の松川村がやっている「すずむし荘」と並んで、安曇野の地元のオジサン、オバサンがよく利用する日帰り温泉でした。
入浴料も大人410円と、周辺の日帰り施設より安く抑えられていました。
一方、新装オープンした「しゃくなげの湯」は大人700円。安曇野市民は500円の優待料金で入れますが、それでも実質2割以上の値上げ。ゼロ金利の時代に少々、厳しい価格設定ではあります。
しかし、ひとたび入館すると、この新料金がけっして割高じゃないことが実感されました。
新築ですから当然と言えば当然ですが、とにかくどこもかしこも真新しくて清潔なんですね。
以前の「しゃくなげ荘」が、長年の湿気と湯ノ花で薄汚い印象だったのに比べると、明るくのびのびした空間が広がっています。
男湯、女湯のほか、家族風呂も用意されていました。
内湯にはジェットバスや炭酸湯、シルク湯などの他、二種類のサウナ風呂(遠赤外線/塩)があり、昨今の温泉ファンの細かなニーズに応えています。
露天風呂も「あつ湯」「ぬる湯」に仕切られているので、気温や体調に合わせた選択が可能です。
その他、ロッカーの内部に眼鏡やスマホを置く小物入れが付いていたりと、細かいところまで気配りがされています。
吹き抜け天井のロビーでは地酒「大雪渓」や安曇野ワイナリーのワインなど、地元の特産品販売コーナーも充実。フロントの横ではペッパー君が子供たち相手に案内をしていました。
安曇野周辺の日帰り温泉施設は、昭和後半~平成初頭に造られたところが多く、少々古ぼけてきています。
そんななか、満を持して登場した「しゃくなげの湯」は、昨今の日帰り温泉ニーズを貪欲に取り込んだという印象です。
安曇野に新たな観光名所が誕生しました。