床の間の下に開いている“四角い穴”の正体は??
昔ながらの和室の床の間には、左右のどちら側かに違い棚や引き戸をあしらった「床脇(とこわき)」という空間が隣接しています。
我が家の場合、床の間の両サイドに床脇が配置されていて、少々、大袈裟な印象があります。
さて、この床脇と床の間の間の壁をよく見ると、床に接した下の部分が四角くくり抜かれ、素通しになっていることがあります。
我が家では、時々、チワワが通り抜けたりするぐらいで、ほとんど何の役にも立っていません。
かねがね、何のための穴なんだろう? とギモンでした。
先日、読んでいた本の中に、この穴のことが書いてありました。
なんと「狆潜り(ちんくぐり)」という立派な名前が付いているんだそうです。
狆潜り、つまり犬のチンがくぐるぐらいの小さな開口部、という意味でしょう。
道理でチワワがウロチョロ通り抜けるわけです。
ですが、本来はチンだのチワワだのの通り道として造られたわけではなく、床脇の奥まで外光を採り入れるための建築上の工夫だったようです。
写真をご覧ください。狆潜りを通って表の明かりが差し込んでいるのがおわかりいただけると思います。
また、それとは別に「狆潜り=朕潜り」だとする異説もあるようです。
朕とは「朕思ふに…」のチン。天皇やお殿様などのやんごとなきお方が自分のことを言うときに使う一人称です。
もともと床の間は武家屋敷で誕生し、時代が下って一般家屋にも普及したそうです。戦国武将が敵の不意打ちに遭って逃げる際に、ここをくぐり抜けたとも言われているんだとか。
戦乱の世の名残りというわけですね。なるほどなぁ。