木曽の土産物屋で買った大小ふたつの箒が役に立つ
数年前、木曽に旅した折のことです。妻籠(つまご)の土産物店の軒先に、ご覧の大小ふたつの箒がぶら下がっていました。
大きいほうには「土間箒(どまぼうき)」、小さいのには「囲炉裏箒(いろりぼうき)」という札が付いていました。土間箒が1000円ちょっと、囲炉裏箒は数百円だったと記憶しています。
両方、買って帰ったのですが、これが土産物とは思えないほど便利で、結構“使える”まともな商品でした。
土間箒は、土間に溜まった枯葉や土埃を掃き集めるのに手頃です。
軽いわりに腰があって、微妙に凹凸のある三和土(たたき)の表面をくまなく撫でていきます。スーパーで売っているポリプロピレン製のものなんかより、細かいゴミまで確実に集められます。
一方の囲炉裏箒は、文字どおり囲炉裏のまわりに飛び散った灰を始末するのにぴったり。いわゆる「小箒(こぼうき)」で、文机に溜まった消しゴムのカスを集めるのにも適しています。
今日び「土間箒」と「囲炉裏箒」をそのまんま土間と囲炉裏で忠実に使っている人がどれぐらいいるかわかりませんが、このネーミングがけっして伊達やハッタリじゃないことは、使ってみて実感しました。
日本の伝統的な民具というのは、奥が深いものですね。