ベンケイの立ち往生

「塩の道博物館」の「ベンケイ」
安曇野北部の大町市に「塩の道博物館」があります。古民家を改装した、ちょっと素敵な博物館です。
去年、初めて訪れたとき、昔ながらの囲炉裏の上に藁人形のようなものが下がっているのが目を引きました。その胴体には干涸らびた魚が四方八方に突き刺さっていました。
昔の古民家の写真で見たことのある、懐かしい光景です。
近くで観察すると、藁の束を固くしばって、巨大な納豆の苞(つと)のようにまとめてあります。それを火棚にぶら下げ、竹の串で魚をグサグサと串刺しにしているのです。
--この藁人形みたいなもの、何て言うのだろう?
疑問に思って博物館のオバサンに尋ねましたが、
「さあて、わからないわねぇ」
と言われてしまいました。
モノの名前がわからないのは、何にせよ気持ちの悪いことです。家に帰ってネットで調べてみました。そしてわかったのが、
「ベンケイ」
という名称でした。
ベンケイ=弁慶です。義経を庇って我が身に無数の矢を受け、立ったまま絶命した、いわゆる「弁慶の立ち往生」に姿が似ていることから、この名前が付いたそうです。
なるほど。昔の人はよく考えたものです。

我が家の「ベンケイ」

鎌倉の満福寺の襖絵「弁慶の立ち往生の図」
上の写真がベンケイ、そして下が以前、鎌倉の満福寺で見かけた弁慶の立ち往生の図です。見れば見るほど弁慶の立ち往生にそっくりですよね。
ちなみに囲炉裏で使うベンケイは平和そのものの道具です。魚を刺して囲炉裏の煙で燻製にし、冬の保存食にするための“大きな針山”みたいなものです。

ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします。