「松本一本ねぎ」を知っていますか?
「松本一本ねぎ」を知っていますか?
安曇野の隣、松本市一帯に江戸時代から伝わる長ねぎで、2007年に「信州の伝統野菜」にも認定されました。
一般的な白ネギがまっすぐなのに対して、松本一本ねぎは大きく弧を描いた独特の弓なり形をしています。
春先に植えたねぎを、8月中旬頃に一度抜いて、深いうねを掘り、そこに1本1本立てかけて植え替えをします。
斜めに並べて土を被せると、徐々に湾曲して成長するため、このような“曲がり”が生じるのだそうです。
この曲がった部分に柔らかみと甘みが凝縮しています。
松本一本ねぎは鍋料理に欠かせません。白く曲がったところに深いトロ味と甘みを蓄えているので、煮込むほどに料理の味が複雑・美味になるんです。
非常な手間暇をかけて栽培されている松本一本ねぎですが、嬉しいことに地元ではかなりお安く手に入ります。
写真の松本一本ねぎは、やや痩せこけて小ぶりだったせいか、1束180円でした。
安くておいしいので私たちも冬の間、毎食のようにいただいていますが、ひとつ問題があるんですね。
というのも、このねぎ、とても臭いんです。
店で買ってクルマに載せると、1分もしないうちに車内が異様な臭気に包まれます。長ねぎのニオイを50倍ぐらいに濃縮したような、かなり強烈かつ不快なニオイです。
以前、東京へ出かけた際、土産に松本一本ネギを1束、新聞紙に包んでクルマに放り込んで走り出しました。
ほどなく何とも言えない激臭が車内に充満して、気分が悪くなりました。急遽、SAに滑り込み、ビニール袋を入手。ねぎをグルグル巻きに包んで縛んで、どうにか事なきを得ました。
臭いけどうまい。名前も一本気な感じがして好感が持てます。
松本一本ねぎは、そんな野性を感じさせる伝統野菜です。