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火棚は何のためにある?

 囲炉裏の上に屋根のようにぶら下がっているのが「火棚(ひだな)」です。

 我が家の囲炉裏にも、格子状の大きな火棚があります。四隅を麻縄で縛って吹き抜け天井のうんと上の梁から吊るし、固定しています。

 その面積は囲炉裏より一回り大きく、囲炉裏を覆うように設置されています。もともとは火の粉が舞い上がって茅葺き屋根に燃え移らないように工夫されたものだそうです。

 火事の防止だけでなく、上昇気流をせき止めて囲炉裏の周囲に拡散させる働きもあったようです。

格子状です
我が家の火棚。格子状です

 しかし、これは我が家に限ったことではないのですが、信州各地に残っている囲炉裏の火棚は多くが格子状、つまり素通しなのです。もし囲炉裏の火が燃え盛り、燃え上がったとしても、火の粉や炎を食い止めるのはとても不可能です。

 何かヘンだなぁと調べてみたら、わかりました。本来、火棚は格子状ではなく、板状だったらしいのです。囲炉裏の上に“屋根”として被せ、予想外の炎が舞い上がったときにガードする役割を果たしていたのです。

 北海道の平取町立二風谷アイヌ文化博物館には、この“元祖・火棚”が展示されています。囲炉裏の構造や役割は日本人でもアイヌでもほとんど同じで、アイヌは火棚を「トゥナ(tuna)」と呼んでいました。

 同博物館のサイトには、板で覆われた火棚の写真が載っています。昔はその上に穀物や肉を置いて干すのにも利用したそうです。

 しかし、時代が下り、火棚は本来の目的を失って装飾化してしまいました。

 ネット上には新品の火棚を作って売るショップがありますが、扱っているのは格子状をした“装飾火棚”ばかり。板状のオリジナルスタイルはどこを探しても見当たりません。

 それもそのはずで、囲炉裏を囲んで座ったとき、真上に板が渡してあったのではいかにも窮屈です。時代とともに開放感を求めて板から格子へとモデルチェンジが進んだのでしょう。

 ただ裏を返すと、現代の囲炉裏は不意に燃え立つ炎には無防備だということです。ご自宅で囲炉裏をお使いの方は十分ご注意ください。私たちも気をつけています。

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ジャンル : ライフ

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あづみ

Author:あづみ


都会から安曇野の古民家に親子3人で移住しました。夏涼しく、冬は想像を絶する寒さですが、ハラを括って暮らせば何とかなるものです。

その後、縁あって畑付きの田舎家をゲット。現在は山中の古民家と里の家とを行き来する日々です。

安曇野に興味のある方、また古民家に暮らしたいと思っていらっしゃる方、よろしかったらお立ち寄りください。

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