「新美南吉の青春展」へ行ってきました
先日、当ブログで新美南吉のことを書いたら、ご愛読いただいている田舎人さんから、
「北アルプス展望美術館で新美南吉の展示をしてますよ。
見に行ってください。」
と教えていただきまました。
灯台下暗し。地元の美術館でそんな素敵な展覧会が開かれていようとは、ついぞ知りませんでした。
頭を掻き掻き、「新美南吉の青春展」へ出かけた次第です。
北アルプス展望美術館">北アルプス展望美術館は、北アルプスを正面に仰ぎ、安曇野一円を見下ろす小高い山の中腹に建っています。
常設展示のほか、ときどき面白そうな展覧会を催しているのは知っていましたが、足を運んだのは今回が初めてです。
大人800円の入場料を払って特別展示室に入ると、新美南吉が29年の短い生涯に残した生原稿や手紙類、童話が掲載された雑誌や初版本、そして肖像写真や愛用していた着物などが展示されていました。
新美南吉は愛知県知多半島の出身です。安曇野とは直接関係ない人なんですが、いくつかの作品に信州の影響があるんだそうで、そこら辺を説明したコーナーもちゃんと設けられていました。
休日にもかかわらず観客はまばらで、展示物も“腹八分目”といった内容ではありました。
生原稿の脇に置かれた説明書きが別のものだったり、とあるパネルの説明文が前半は「~である」調ではじまり、途中から「~ですます」調に変わってしまったりと、少々、詰めの甘さが目立ちました。
とはいえ、新美南吉の生涯と作品について、ある程度、理解が深まるようには作られていたと思います。
私たちの目を引いたのは、次の2枚の写真です。
1枚目は昭和6年、18歳当時のカンカン帽のポートレイト。
精一杯おしゃれをしていますが、痩せぎすで不健康そうによじれた体が印象的です。
もう1枚は、昭和10年11月、英語劇「リア王」を演じた南吉の女装姿。
妖艶といいましょうか、凄みと幸薄さが混じり合った忘れがたい写真です。
まさか新美南吉の女装写真を見られるとは思わなかったので、面食らいつつも来てみて良かったナと思ったのでした。