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蚕棚(かいこだな)はありませんが、お蚕さんの“ささやき”が聞こえてきそうです

 私たちの家は、明治の初めから養蚕を営む農家の持ち家でした。

 登記簿によれば家屋の種類は「養蚕住宅」(!)、築年は「明治1年」(!)と記されています。

 元の所有者である農家が、なぜこの家を手放すに至ったかについては「『水』の字の鬼瓦は見ていた!」に書きましたので、そちらをお読みいただきたいのですが、さて、実際のところ、どんなふうにしてカイコを育てていたのでしょうか?

 残念ながら、養蚕農家を伺わせるような農具などはほとんど残っていません。わずかに、育った繭玉(まゆだま)を収穫する際に使った「繭毛羽取機(まゆけばとりき)」が1台、すっかり錆び付いて土間に転がっているばかりでした。

2012020803.jpg
これが繭毛羽取機(まゆけばとりき)

 しかし、家の構造を眺めてみると、なるほどこの家が養蚕用だったことがわかります。

 土間と囲炉裏部屋は吹き抜け天井ですが、それ以外の部分には2階が設けてあります。そこに蚕棚(かいこだな)が整然と並んでいたのでしょう。

2012020804.jpg
我が家の2階。たぶん、ここに蚕棚が…

 以前、お邪魔した古民家の2階には、写真のような蚕棚が往時のまま、保存されていました。

2012020801.jpg
とある古民家に残っていた蚕棚

 また、古民家で陶芸をなさっているご近所のお宅では、制作中の作品を並べて陰干しするのに蚕棚を使っていらっしゃいました。

2012020802.jpg
陶芸家のお宅では、今も蚕棚が使われていました

 きっと我が家の2階にも、このような蚕棚が何十台も並んでいたのではないかなと思います。

 今ではご近所で屋根裏にカイコを飼っていらっしゃるお宅は皆無ですが、がらんとした2階に立って目をつむると、桑の葉を無心に食べるお蚕さんのカサコソいう“ささやき”が聞こえてきそうです。

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お蚕さん

おはようございます。
養蚕農家にとってはお蚕さんはとても大事なものだったので母屋に住まわせていたのでしょうね。
読んでいて子供の頃近所にあった、繭が一杯に入った白い大きな木綿袋を店中天井まで積み上げた繭問屋のにおいとその風景が浮かびました。

水の鬼瓦では蚕とは関係ありませんがなぜか「しろばんば」の洪作とおぬいばあさんを思い出してしました。

養蚕

うーん、想像するのは難しいですが、
その家で2階での養蚕はチト懐疑的です。
 まず、餌となる桑を運び入れなければなりませんが、
確かその家のオリジナルの階段はとても急で細かったのでは?
 すると桑篭をせおって上れるスペースがあるか?
と言うことになりますが、いかがでしょうか?
篭は風袋込みで40kg近くあります。
 ただし、蚕の糞尿は窓から放り出せるのでそちらは別。
 また、養蚕には温度が大事です。確かに下で火を焚けば
上に暖気が上りますから好都合ですが、ああ見えて蚕は
デリケートですから、煙にとても弱かったと思います。
 小さかった頃、養蚕の為に花火が禁止されていましたからね、
たぶん揚がる「繭になる時」時だけ2階に移したのでは
と思われます。

 また、正直、前オーナーは小規模の養蚕家だったと
推測されます。ひと山南の陸郷地区に行けば解ると思いますが、
その家の二倍ある大きさの中が全通式となっていて、
居住区は隅にちょっとあるだけ、と言う家ばっかりです。
また、畑の中に鉄骨だけが残っていますが、かつて養蚕場
だった平屋の建物があります。
 まぁ春になりましたら地元も散歩されてください。
桑を山から下ろすロープウエイの残骸を発見するかも知れませんよ。

ちなみに取り壊す前の拙宅は家の中に24畳と18畳分の部屋があり、そこで養蚕をしていました。
オフシーズンは畳を敷いてあり、友達を集めてはプロレスごっこをしたものです。



Re: お蚕さん

ありがとうございます。

> 読んでいて子供の頃近所にあった、繭が一杯に入った白い大きな木綿袋を店中天井まで積み上げた繭問屋のにおいとその風景が浮かびました。

すごいなぁ、そんなにおいの思い出を持っていらっしゃるなんて。
うらやましいです。

> 水の鬼瓦では蚕とは関係ありませんがなぜか「しろばんば」の洪作とおぬいばあさんを思い出してしました。

私も『しろばんば』を読み返したくなりました。
今度、本当に久しぶりに読んでみようと思います!

Re: 養蚕

>  まず、餌となる桑を運び入れなければなりませんが、
> 確かその家のオリジナルの階段はとても急で細かったのでは?
>  すると桑篭をせおって上れるスペースがあるか?
> と言うことになりますが、いかがでしょうか?

なるほど!

じつは、土間の真上の二階の床に
80センチ四方ぐらいの丸い穴が開いています。
何かを上げ下げするための穴だったと想像していましたが、
田舎人さんのご指摘で、ハタと思い至りました。

もしや、この穴は、土間から桑カゴを二階に引っ張り上げるための
ものだったのでは?

あるいは、繭を土間に下ろすための穴だったのでは?

…そんな気がしてきました。


>  まぁ春になりましたら地元も散歩されてください。
> 桑を山から下ろすロープウエイの残骸を発見するかも知れませんよ。

ロープウェイの残骸、ありそうですね。
春が来たら山肌を仰ぎ見ながら散歩してみます。

ありがとうございます。
プロフィール

あづみ

Author:あづみ


都会から安曇野の古民家に親子3人で移住しました。夏涼しく、冬は想像を絶する寒さですが、ハラを括って暮らせば何とかなるものです。

その後、縁あって畑付きの田舎家をゲット。現在は山中の古民家と里の家とを行き来する日々です。

安曇野に興味のある方、また古民家に暮らしたいと思っていらっしゃる方、よろしかったらお立ち寄りください。

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