古民家再生と古民家リフォームの違い

「古民家再生」というと、なんだか朽ち果てた日本家屋を現代のテクノロジーで蘇らせるといった、相当カッコよくてお金がかかるイメージを抱きがちです。
ものの本やネットで調べると、
【古民家再生】
・古い日本家屋をバラバラに解体して別の場所に移したり、組み立て直すこと。その際、最新の耐震・耐火基準を満たすべく必要な補強を施し、断熱材や床暖房、太陽光発電システムなど最新の建築技術をふんだんに取り入れて、安全で快適な最先端の住居に作り変えること。
【古民家リフォーム】
・古い日本家屋を住みやすくするために、耐震・耐火補強したり、内装を変更したりすること。
……漠然とですが、そんな区別をしている場合が多いようです。
でも、実際にはこのふたつの言葉を明確に線引きすることはできません。要は傷み具合に応じてどの程度手を加えなければダメか、という問題です。
屋根も床も抜け、土壁もボロボロに崩れかけているあばら屋は、ちょっとやそっとの内装の手直しぐらいでは、とても住める家にはなりません。そういう場合は、解体して梁や大黒柱を再利用すれば、立派な日本家屋として蘇って、この先100年、200年、長持ちするかもしれません。
逆にそこそこ程度の良い古民家なら、いたずらに手を加えずに水回りの改良や窓にサッシを追加するなど、最低限の変更でも十分に快適な住環境が得られます。
私たちの考えでは、まずめざすべきは「古民家リフォーム」。でも、家の傷みが酷過ぎる場合は部分的に、もしくは全面的にバラして「古民家再生」に踏み切る……というのがよろしいのではないでしょうか。
建てられた当時の状態でまだまだ頑張れる家なのに、レゴを分解するように安易にバラしてしまって、断熱材やら補強材やらをギュウギュウ詰め込んで“再生”するのは、いかがなものかと思うのです。
ちなみに、私たちが今の家を“手直し”するに当たって自分たちで取り決めた“ガイドライン”は、次のようなものでした。
■オリジナルの姿を最大限に生かす。
■最低限の補強以外、構造上の変更はしない。
■内外装に手を加える場合は、現状復帰が可能な範囲に留める。
■新建材などに安易に頼らない。

購入時の我が家のダイニングルーム。
前のオーナーが捨てていった冷蔵庫などを
取り払うと、ガランドウになりました。

ガランドウを板で囲って風呂場の
スペースを設けました。

風呂場のスペースにユニットバスを
はめ込み、完成です。
購入時、私たちの家には水回りがありませんでした。台所も洗面台も風呂場もなく、壊れたトイレがポツンと付いているだけでした。やむを得ず、もともと家畜部屋だったスペースにユニットバスとシステムキッチンを入れ、トイレも最新のものに交換しました。
でも、ユニットバスとシステムキッチンと便器を取っ払ってしまえば、また元のだだっ広い家畜部屋に戻ります。その気になれば150年前の姿に戻せるようにしたかったのです。
伝統家屋としての“素の姿”を見失わないようにリフォームや再生を図るのが、かつてこの家を建てた人たちへの敬意だと思っています。



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