fc2ブログ

これ、何だかわかりますか?

 私たちの家には、古い民具や農具がいくつか残っています。元のオーナーさんが置いていったもので、杵や臼のようにすぐにでも使える道具もあれば、何に使うのかわからない謎の古物もあったりします。

 最近まで用途の見当がつかず、土間の隅で埃を被っていたのが、写真の物体です。

2011082201.jpg 2011082202.jpg

 これ、何だかわかりますか?

 鉄の鋳物でできた重い機械で、片側に手回し用のハンドルが、反対側に車輪のようなものが付いています。昔の足こぎミシンをコンパクトにしたような感じですが、てっぺんにスノコよのようなものが載っていたりと、何とも不可解な形状をしています。

 正面にぶら下がった鉄板の埃を払ってみたら、そこにこんな文字が書いてありました。

2011082206.jpg

 ┏━━━━━━━━┓
 ┃ 繭毛羽取機  
 ┃   登録   
 ┃   商標   
 ┃        
 ┃  片山式   
 ┃        
 ┃ 埼玉県川越市 
 ┃ 片山製作所  
 ┗━━━━━━━━┛

 どうも養蚕に関係のある機械らしいのです。

 調べてみると「繭毛羽取機(まゆけばとりき)」という名称の農具でした。

 蚕は繭籠りするにあたって、まず足場として糸を張るのですが、その最初の糸のことを「毛羽(けば)」というのだそうです。育った繭玉を足場から外して集めるときに、この毛羽がくっついて繭同士が絡まってしまいます。

 そこで発明されたのが、この機械。絡まってしまった繭を手で押し広げながら繭毛羽取機にくぐらせます。ハンドルを回すと毛羽がきれいに取れて、繭と繭がくっつかなくなるのだそうです。

 養蚕には必須のアイテムだったらしく、昔は安曇野界隈の養蚕農家に広く普及していたようです。

2011082203.jpg 2011082204.jpg

2011082205.jpg

 本来は上部のスノコの手前に木枠をはめて、そこに絡まった繭玉をザラッと敷き、ハンドルを回して少しずつ機械に通してくのですが、我が家の繭毛羽取機は木枠が腐るか割れるかして捨てられてしまい、残っていません。また、本体のハンドルも錆びついて動きません。

 それでも、養蚕住宅としてのこの家の歴史を物語る貴重なモニュメントです。大事に遺していこうと思います。

人気ブログランキングへ  にほんブログ村 ライフスタイルブログ 古民家暮らしへ  にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 安曇野情報へ
ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします。

テーマ : スローライフ
ジャンル : ライフ

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

歴史と共に

おはようございます。 歴史の息ずいてる、素敵な古民家にお住まいで羨ましい限りです。
今では使い道はない物だけど、そこでその道具を使い、日々一生懸命暮らしていた人達の歴史が感じられますね。その他のお道具も大切になさってくださいね。
昨夜、テレビで安曇野の特集をやってました。 あ~今すぐにでも、安曇野に行きたいです。

毛羽取り機

有りましたか。

まぁ民俗資料館に行けばいくらでもありますから
別に珍しい物ではありませんが・・

 動き
上から撮った写真で赤いゴムベルトが見えますが、
この右側が下になるように回転します。
右端のゴムベルトとその右にある金属の間に
繭が挟まるようになって余分な毛羽をベルトが引き出し
もう一つあるざらざらしたベルトに転写されます。
ざらざらベルトには帯状に生糸がつきます。

毛羽は帯状になりますがこれがまた売れるんです。!!

多分ベルトは劣化していますから無理に動かすと
破れてしまいます、気おつけてください。
この機械はベルトが命です。

写真は手回しですが、拙宅にあった物は
ハンドルの代わりにプーリーが付いていてモーター
駆動でした。
ハンドルでは1で行うと作業効率が著しく落ちます。

最新型は、回転族「繭を作る格子状の型枠」
から自動で繭をかき、自動で毛羽取りをしてくれました。
(今でも倉庫のどこかにあるかも知れない)

群馬富岡の製糸工場は有名ですが、
なお、県内では伊那、中条村にまだ養蚕農家があります。
ところが製糸会社は?です。
 ちなみに 総合福祉センターの有った場所は「高姫社」中部電子の工場の場所は「安曇社」という製糸会社。
安曇社の南の高台には稚産所「蚕の卵を孵化させるところ」
が有りました。 

アリスさま

ありがとうございます。

「繭毛羽取機(まゆけばとりき)」は、
タイムカプセルを掘り出して開いてみたら
そこから出てきました、といった感じの古物でした。

今はもう動きませんが、
これも古民家の一部だと思って
大事にしていこうと思います。

田舎人さま

帯状の毛羽が売れるとは! 知りませんでした。

田舎人さんのお宅の「繭毛羽取機」は電動タイプだったんですね。
なんだかカッコよさそうだなぁ。

それに比べると我が家のものは旧製品=ローテクです。
中のベルトを切らないように、
おっかなびっくりいじることにします。
プロフィール

あづみ

Author:あづみ


都会から安曇野の古民家に親子3人で移住しました。夏涼しく、冬は想像を絶する寒さですが、ハラを括って暮らせば何とかなるものです。

その後、縁あって畑付きの田舎家をゲット。現在は山中の古民家と里の家とを行き来する日々です。

安曇野に興味のある方、また古民家に暮らしたいと思っていらっしゃる方、よろしかったらお立ち寄りください。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブログランキング
ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします。
人気ブログランキングへ

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 古民家暮らしへ

にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 安曇野情報へ
本文検索キーワード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR