安曇野市の天然記念物オオルリシジミの観察会に行ってきました
今年3月、安曇野の岩原地区に自生するオオルリシジミという蝶が安曇野市の天然記念物に指定されました。
もともと環境省のレッドリストでも絶滅危惧種に分類評価されていて、岩原を含む県内3か所を除き絶滅したとされています。
そんな希少なシジミチョウのサンクチュアリ(保護区)を訪ねるツアーがあると聞いて、先日、参加させていただきました。
サンクチュアリは、国営アルプスあづみの公園の里山文化ゾーンの棚田の跡地に設けられています。
標高650メートルほどの山の斜面を木の柵で囲んで、立ち入り規制した一角です。
普段は出入口に南京錠が掛かっていて一般客は入れませんが、今回は地元・岩原の自然と文化を守り育てる会が主催する「岩原のタカラめぐり」ツアーの一環ということで、特に入場を許されました。
安曇野を眼下に見下ろす小高い丘の上。一帯は公園に造成される前は棚田でした。すでに水は枯れ、田んぼの跡には草が茂っています。
小さな池があります。以前の自然環境を再現するために作られた人工池です。国営アルプスあづみの公園では、生態系を保つ目的でビオトープの整備に力を入れているそうです。
小径の両脇にマメ科の多年草クララが生えています。ひょろりとした茎にシダのような葉っぱがモサモサと伸びる、典型的な野草というか雑草です。
根を噛むとクラクラするほど苦いため「眩草(くららぐさ)」と呼ばれたのが、名前の由来だとか。根の毒性が強く、乾燥させたものは「苦参(くじん)」という漢方の生薬になるそうです。
じつはこのクララがオオルリシジミの生存に欠かせない存在なんです。
オオルリシジミはクララだけに産卵し、幼虫はその花芽だけを食べて成長します。クララ以外の野草には目もくれません。
一昔前まで、クララは日本全国の畦道や用水路のまわりに無数に自生していました。
ここ安曇野ではクララを刈って溜め式の便槽に放り込むとウジが死滅することから、ウジゴロシと呼んで衛生管理に多用していました。
ところが下水道が完備し、ポットン溜め式のトイレが激減するとクララは用済みに。邪魔な雑草扱いされて全国の道端から一掃されてしまいました。
そのウジゴロシが、あろうことか奇跡的にここ岩原の棚田周辺に残存していたんですね。そしてそのクララを頼りに生きていたオオルリシジミも生き残ったのでした。
5月中旬から下旬にかけてがオオルリシジミの羽化時期ということで、サンクチャリの草木を観察して回りました。
すぐに目についたのはベニシジミ。珍しくはありませんが黄緑色の若い草に止まった姿は鮮やかです。
ふいに1匹の青いシジミチョウが目の前をふらふらと通り過ぎ、足元の草に止まりました。
羽を閉じると、オオルリシジミの特徴とされるオレンジ色の斑点が後翅に見えます。
すわオオルリシジミ登場か?...息を潜めてこの日、ナビゲートしてくださった岩原の自然と文化を守り育てる会の百瀬会長(長年にわたってオオルリシジミを市民の手で復活・再生させる活動をしていらっしゃいます)に見ていただくと、
「オオルリシジミにしてはちょっと小さいかなぁ。これはミヤマシジミじゃないかな」
残念!ミヤマシジミは左右が2.5cmほど。対するオオルリシジミは3~4cmと一回り大きく、色も一段と鮮やかなんだそうです。
結局、この日オオルリシジミに遭遇することはありませんでしたが、家に帰って調べてみたら、ミヤマシジミも環境省レッドリストの絶滅危惧種に指定されているのでした。
貴重な体験をさせていただきました。ありがとうございます。
もともと環境省のレッドリストでも絶滅危惧種に分類評価されていて、岩原を含む県内3か所を除き絶滅したとされています。
そんな希少なシジミチョウのサンクチュアリ(保護区)を訪ねるツアーがあると聞いて、先日、参加させていただきました。
サンクチュアリは、国営アルプスあづみの公園の里山文化ゾーンの棚田の跡地に設けられています。
標高650メートルほどの山の斜面を木の柵で囲んで、立ち入り規制した一角です。
普段は出入口に南京錠が掛かっていて一般客は入れませんが、今回は地元・岩原の自然と文化を守り育てる会が主催する「岩原のタカラめぐり」ツアーの一環ということで、特に入場を許されました。
安曇野を眼下に見下ろす小高い丘の上。一帯は公園に造成される前は棚田でした。すでに水は枯れ、田んぼの跡には草が茂っています。
小さな池があります。以前の自然環境を再現するために作られた人工池です。国営アルプスあづみの公園では、生態系を保つ目的でビオトープの整備に力を入れているそうです。
小径の両脇にマメ科の多年草クララが生えています。ひょろりとした茎にシダのような葉っぱがモサモサと伸びる、典型的な野草というか雑草です。
根を噛むとクラクラするほど苦いため「眩草(くららぐさ)」と呼ばれたのが、名前の由来だとか。根の毒性が強く、乾燥させたものは「苦参(くじん)」という漢方の生薬になるそうです。
じつはこのクララがオオルリシジミの生存に欠かせない存在なんです。
オオルリシジミはクララだけに産卵し、幼虫はその花芽だけを食べて成長します。クララ以外の野草には目もくれません。
一昔前まで、クララは日本全国の畦道や用水路のまわりに無数に自生していました。
ここ安曇野ではクララを刈って溜め式の便槽に放り込むとウジが死滅することから、ウジゴロシと呼んで衛生管理に多用していました。
ところが下水道が完備し、ポットン溜め式のトイレが激減するとクララは用済みに。邪魔な雑草扱いされて全国の道端から一掃されてしまいました。
そのウジゴロシが、あろうことか奇跡的にここ岩原の棚田周辺に残存していたんですね。そしてそのクララを頼りに生きていたオオルリシジミも生き残ったのでした。
5月中旬から下旬にかけてがオオルリシジミの羽化時期ということで、サンクチャリの草木を観察して回りました。
すぐに目についたのはベニシジミ。珍しくはありませんが黄緑色の若い草に止まった姿は鮮やかです。
ふいに1匹の青いシジミチョウが目の前をふらふらと通り過ぎ、足元の草に止まりました。
羽を閉じると、オオルリシジミの特徴とされるオレンジ色の斑点が後翅に見えます。
すわオオルリシジミ登場か?...息を潜めてこの日、ナビゲートしてくださった岩原の自然と文化を守り育てる会の百瀬会長(長年にわたってオオルリシジミを市民の手で復活・再生させる活動をしていらっしゃいます)に見ていただくと、
「オオルリシジミにしてはちょっと小さいかなぁ。これはミヤマシジミじゃないかな」
残念!ミヤマシジミは左右が2.5cmほど。対するオオルリシジミは3~4cmと一回り大きく、色も一段と鮮やかなんだそうです。
結局、この日オオルリシジミに遭遇することはありませんでしたが、家に帰って調べてみたら、ミヤマシジミも環境省レッドリストの絶滅危惧種に指定されているのでした。
貴重な体験をさせていただきました。ありがとうございます。