タンポポのさんぽみち
タンポポが敷物のように咲き広がった散歩道を、ヨークシャーテリアが我が物顔で歩いていきます。
花を踏んづけ踏んづけ、轍(わだち)と轍の間に伸びるグリーンベルトをずんずん進んでいきます。
この辺のタンポポは茎が短く、地面からほんの数センチのところに草に埋もれるようにして咲いているんですね。
だからヨーキーの短い足でも簡単に踏み越えられるというわけ。
都会の道端なんかで見かけるタンポポに比べると全体にちんまりとしていて、どこかか弱い印象です。
きっと在来種(日本タンポポ)なんだろうなと思い、一輪手折って花の裏側を調べてみました。
付け根の緑色の部分(総苞片:そうほうへん)がペラペラと反り返っています。
在来種は総苞片がギュッと閉じているので...残念ながら西洋タンポポでした。
安曇野の春は朝晩が寒く、成長が遅れて背が伸びないのかもしれません。
ふとヨーキーが急ブレーキをかけて立ち止まりました。鼻を鳴らし、怪訝そうに足元のタンポポを見つめています。
背中越しにのぞいたら、ミツバチが数匹集まり、明るい羽音を響かせて蜜集めの最中でした。
「ちょっかい出したらダメだよ!」
と言うより早く、ヨーキーはミツバチを毛散らかして走り出しました。
犬にとっては花より団子、じゃなかった花より散歩なんですね。