な~んも知らなかった保護犬の“社会化”について
ブリーダーさんの“種犬”だった保護犬のヨークシャーテリアを、今春、我が家にお迎えしたことは、以前、このブログに書きました(→新しい家族を迎えました)。
我が家の歴代の犬は、知人やブリーダーさんから子犬時代に譲ってもらった子たちです。今回初めて6歳という成犬を迎えて、正直驚きの連続です。
というのも、我が家のヨーキーはシェルターに保護されるまで、どうやらほとんど檻の中から出してもらった経験がなかったらしいのです。
檻に閉じ込められっぱなしで年二回のヒート(発情期)が来るたび、交配させられていたんだと思います。
その証拠といいましょうか、当初はまったく人馴れしていませんでした。
名前も無ければ人間から言葉をかけられることもなかったようです。
私たちもいろいろな言葉をかけてみましたが、反応はゼロ。
唯一、通じたのが「ごはん」。「ごはん」と聞くと、ハァハァ息遣いが荒くなって、小さな舌をペロペロさせるんですね。
それ以外の言葉はどれだけ投げかけても、完全スルーでした。
人間とのスキンシップがほぼ皆無だったろうことは、抱き上げてみてもわかりました。
可愛がられて育った小型犬は、抱っこすると飼い主の腕の中に体重を預けるものですが、我がヨーキーは4本の足を木馬のようにピンと突っ張り、首を思いっきり反らして必死に目を合わさないようにするんですね。
懸命に遠ざかろうとうするその様子が健気で、逆に愛くるしさを感じました。
そんな状態ですから、当然、オシモのしつけもされていません。家の中をウロウロ探訪しながら、あっちでオシッコ、こっちでウンコと、じつにあっけらかんとしたものです。
まあ、トイレは追々できるようになればいいかな、と思い、オムツを履かせて対処しています。
それより心配なのが、お散歩でした。なんと我がヨーキーは、これまで散歩の経験が無かったらしいのです。
初めて庭に出してみた日のこと。呆然と立ち尽くし、一歩も足を踏み出せません。
「ここまでおいで」...どんなに呼びかけても、微動だにしないんです。
これにはさすがに驚きました。歩いたり走ったりするのは動物の本能じゃないですか。それがまったく発動されないどころか、目に見えない檻に四方を囲まれて身動きがとれない感じなんですね。
人間界で言うなら典型的なネグレクトだったのでしょう。相当過酷な前半生を送ってきたんだな、と切なくなりました。
そんな“超世間知らず”の6歳メス犬ですが、嬉しいことに日々、心に血が通っていくのがわかります。私たち人間との“回路”が確実に太くなってきたみたいです。
相変わらずトイレはダメですが、私たちが付けた自分の名前をぼんやりながら理解し始めました。
抱っこされるのも格段に上手になりました・・・というより、人間に抱かれるという初体験が衝撃的に素晴らしかったらしく、暇さえあれば「抱っこして!」と飛びついてくるようになりました。
人間だってそうですが、社会性ってこんなにも大事なんですね。我がヨーキーを見て、いろいろなことを考えさせられる日々です。