干し柿を狙ってケモノが母屋にやってきた
小雪が舞う昼下がり。柿の枝に止まって凍った実をついばんでいたヒヨドリが、突然、鋭い声で「キィ~ッ!キィ~ッ!キィ~ッ!」と鳴きだしました。
見れば柿の木の下をすり抜けて、何かが抜き足差し足、こちらに向かってきます。
茶色の毛に覆われたスリムな体つき。柴犬かな?と思って目を凝らすと、ははぁ、キツネです。
いつもは畑の向こうにいて、我が家を遠巻きに眺めている大人のキツネが、今日はどうしたわけか母屋のすぐそばまでやってきました。
キツネの視線の先にあるのは、干し柿。なるほど、こいつを狙っていたんですね。
たしかに「お食べなさい」と言わんばかりの吊るし方です。
キツネはしばらく様子を見ていましたが、こちらの気配を察したのでしょう、くるりと方向転換して元来た道を黙々と引き返していきました。
雪が積もると食べ物探しも難儀なんですね。
とはいえ、虎の子の干し柿を盗られるのは癪に障ります。慌てて残っている干し柿を高い位置に吊るし直しました。