あれ、古民家のどこに鳩時計?
古民家の畳の上でうたた寝をしていたら、
ポッポ~♪ ポッポ~♪ ポッポ~♪
土間の方角から鳩時計が時を告げるのが聞こえてきました。
ポッポ~♪ ポッポ~♪ ポッポ~♪
そういえば今日は午前9時に人と会う約束があったな…
ポッポ~♪ ポッポ~♪ ポッポ~♪
9回目の鳴き声でガバッと起き上がり、慌てて時計を見ると午前8時10分過ぎ。やれやれ、寝過ごさなくてよかった。あれ、でも何かヘンだな?…そう思っているうちに、頭にかかっていたモヤが少しずつ晴れてきました。
そもそも、我が家の掛け時計は昔ながらの柱時計を模した電波式。鳩時計ではありません。
ではなぜ、こいつは時を告げたりしたんだろう?…などと埒もないことをボンヤリ考えていると、
ポッポ~♪ ポッポ~♪ ポッポ~♪
おや? まだ時を告げる鳥がいます。でも、この鳴き声は鳩じゃない。よくよく耳を澄ませばカッコウではありませんか!
カッコ~♪ カッコ~♪ カッコ~♪
そうです。外の木立でカッコウが鳴いていたんです。その時、ハタと気づいてしまいました。
鳩時計は鳩の鳴き声ではなく、じつはカッコウの声を模していたんじゃないの??
ググってみたら、やっぱり。
日本以外の諸外国では鳩時計を「カッコウ時計」と呼ぶそうです。
ではなぜ、私たちは「鳩時計」と思ってきたのか。それは第二次世界大戦後、日本のメーカーがこれを舶来の新製品として売り出すにあたって、閑古鳥(カッコウの和名)では「閑古鳥が鳴いている」という不景気な慣用句を思い起こさせるため、あえて商品名をカッコウ時計から鳩時計に変えたんだそうです。
なるほど、そういう事情があったんですね。本物のカッコウさんに鳩時計の真実を教えられました。