世界かんがい遺産・拾ケ堰(じっかせぎ)でサクラざんまい
安曇野に拾ケ堰(じっかせぎ)という農業用水路があります。
1816年に延べ6万7000人の農民を動員して、わずか18日間で完成した延長15キロの用水路です。
勾配1/3000という非常に緩やかな高低差を、当時としては最先端の技術だった水準器による綿密な測量を行って割り出し、水涸れを起こしやすい不毛の土地・安曇野の扇状地を穀倉地帯に変えたのでした。
水路の完成で約300ヘクタールの田んぼが開墾されて、10の村を潤したことから「10の堰」=拾ケ堰と呼ばれるようになったそうです。
その先進性は国際的にも評価され、拾ケ堰は2016年、「世界かんがい施設遺産」に登録されました(世界遺産じゃなくて、世界<かんがい>遺産。そういうレガシーがあったんですね!)。
地元紙を見ていたら、拾ケ堰沿いの広場のソメイヨシノが満開と書いてあったので、買い物ついでに足を延ばしてみました。
なるほど。桜は見事に咲き誇っていました。
ただ、普段の年なら花見客で混雑するのでしょうが、今年は新型コロナウイルスのせいで歩く人もまばら。
私たちも路肩にクルマを停めて、数分間、眺めるだけの寂しいお花見でした。
ソメイヨシノの木の下には、色とりどりのシバザクラが絨毯のように広がっています。
正面に常念岳(2857メートル)と横通岳(2767メートル)が並び立ち、ふたつの山影が用水路に映り込む景色は「これぞ安曇野!」と言いたくなる絶景でした。
コロナの流行が終息したら、ぜひゆっくり散策したいものです。
拾ヶ堰(じっかせぎ)