安曇野という名前のバラをご存じですか?
昨年の夏。オープンガーデンでお邪魔したお宅の庭先に、小さなピンク色の一重のバラが咲き乱れていました。
密集して咲いているのでかなりのボリューム感がありましたが、一輪一輪の花は華奢なうえに、バラにしては造作があざとくないと言いましょうか、清楚な印象です。
ところが近づくと、ムスクのような香りが立ちこめています。淡泊そうに見えて案外、濃厚な香りを持つ花なのでした。
思わず立ち止まって見惚れていたら、お庭のご主人が、
「これ、安曇野という品種なのよ。よろしかったら、ハサミで適当に枝先を切って持ち帰ってくださいね。発根させるとわりに簡単に殖えますよ」
と言って、ご親切にハサミを貸してくださいました。
ありがたくチョンチョンと10本ほどカットして持ち帰り、赤玉土に挿して育ててみました。
秋の終わりに10センチほどの小さな苗に生長しました。白ヒゲのような根っこがひょろりと生えてきたので、庭に下ろしてみることに。
耐寒性があるとは聞いていましたが、果たして本当に根付くのでしょうか?
半信半疑で植え替えたら、意外にも1本も枯れることなく冬を越しました。
こちらが現在の庭の安曇野(0歳)です。
このバラ、調べてみると小野寺 透さんという育種家(ブリーダー)が1983年に作出した純日本種だったんですね。
非常に花付きが良く、伸びたツルを覆うように花を咲かせるのが特徴だそうです。伝統的なバラ園にも、また日本庭園にも似合いそうな和洋折衷の雰囲気を持った花です。
我が家の安曇野に花芽がつくのはいつでしょうか? あと何年かかるかわかりませんが、気長に待つことにします。