買い食い天国!「松本あめ市」に行ってきました。
江戸時代から連綿と続く松本~安曇野地方の伝統行事「あめ市」。
祭りではありませんが、神輿も出るし獅子は舞うし露天商は賑々しいしで、事実上、真冬のお祭り騒ぎが繰り広げられます。
戦国時代に上杉謙信から武田軍勢に送られた塩が、小正月頃に松本城下に到達したことにちなんで「塩市」が立ったのが起源なのだそうです。
かの有名な「敵に塩を送る」の塩ですね。それが松本に届き、そこからさらに塩の道=千国街道を北上して“欠塩状態”に苦しむ周辺の住民を順に潤していったらしいのです。
ですので「あめ市」の開催は毎年1月11日頃に松本市で始まり、安曇野市穂高や池田町では2月2~4日、大町市では2月10日過ぎと、北に行くに従って開催時期が遅くなります。
この辺りのタイムラグに、歴史の重みといいましょうかリアリティが感じられるところですね。
それはともかく、令和最初のあめ市を私たちは松本で楽しむことにしました。
1月12日の昼過ぎに市内に入ると、目抜き通りは歩行者天国になっていて、あちこちから和太鼓の音がズンズンと響いてきます。
中心部を流れる女鳥羽川(めとばがわ)に沿って縄手通りを歩いてみました。
ものすごい人出で、まっすぐ歩けません。縁起物のだるまを売る露天商や、伝統的な「福あめ」を商う飴屋さんがひときわ賑わっています。
全国各地の有名な飴やお菓子を直売するテントがぎっしり立ち並び、まさに買い食い天国。
そば団子や飛騨牛串焼きには、長い行列ができていました。
大通りでは獅子舞や町内会・子供会の和太鼓演奏、ボードビリアンの大道芸などが散発的に繰り広げられ、綱引き大会「塩取合戦」には多くのギャラリーが鈴なりになっていました。
秋祭りなどとは違って神様に奉納したりするわけじゃないので、全体に肩の力が抜けているといいましょうか、良い意味でダラダラ感が漂っています。
お菓子やおやつを買い食いしながら歩き回るのが王道という、なかなかリラックスしたイベントなのでした。
お腹いっぱいになっての帰り道、豊科にさしかかったあたりで小さな神輿に遭遇しました。安曇野も松本に近い豊科界隈では、あめ市が同時期に始まるんですね。
男の子と女の子が担ぐふたつの子供神輿が町中を元気よく練り歩いていました。
それにしても、敵に送ったはずの「塩」が、どうして「あめ」に変わってしまったのでしょうか?
なんだか不思議です。