7年に一度、行われる諏訪大社の「御柱祭」。通称
「おんばしら」が、今年4月~6月にかけて開催の予定です。
祭りのハイライトは、斜度30度以上の崖を山から切り出した御神木に氏子が跨って滑り落ちる「木落し」。毎回、大木の下敷きになったりで死者が出る恐ろしいイベントですが、1200年続く伝統行事ゆえ、たとえ主催者の宮司が業務上過失致死容疑で訴えられても不起訴になるなど、<絶対的に正しい行い>としてこれまで連綿と続けられてきました。
その誰にも止められなかった「木落し」を中止に追い込んだのが、コロナです。2月下旬、祭りの実行委員会はオミクロン株の感染状況を考慮して木落しを中止。同時に御柱を山から里に曳き出す「山出し」も、人力ではなくトレーラーで行うと発表しました。
目下の感染状況を見れば中止はやむなしだと思います。御柱になると血が騒いで仕事が一切手につかなくなる、という諏訪の人たちの落胆はいかばかりでしょうか。
じつは私たちもこの悲報にガックリ肩を落とした口です。というのも、4月8日に行われるはずだった下社の木落しの有料観覧席チケット(A席2万円)の抽選に申し込み、めでたくゲットしていたんですね。
4回行われる木落しを崖下の真正面で眺めることができるとあって、当選通知が届いた2月上旬からわくわく、そわそわ。
冷静に考えると2万円という席料はかなりお高いですが、申し込み時に目を通したこちらのパンフレットには、右下の写真のようなお土産セット(味噌、ワカサギの甘露煮、諏訪湖豆、善光寺の七味唐辛子などなど)が付いてのお値段と書いてありました。
まあ縁起物だし、一生に何度見られるかわからない奇祭なんだからと納得して、4月が来るのを心待ちにしていたんです。
ところが。中止報道から数日して、オンライン決済代行業者のイープラスから、チケットの払い戻しに関するメールが届きました。
その内容を見て唖然。な、なんと
キャンセル料等で1万1000円以上を差っ引いた額を払い戻すと書いてあったのです。
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◇◆『御柱祭下社山出し有料観覧席』運営中止のお知らせ◇◆
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■チケットの払い戻しについて
運営中止に伴い、購入時の注意事項に基づき
・タオルマフラー代/お土産セット代/お弁当のキャンセル料等(11,000円/枚)
・イープラスでの販売手数料(システム利用料、サービス料)
をチケット代金から差し引いた額で払い戻しをいたします。
なお、タオルマフラー及びお土産セットについては、3月中旬に発送予定です。
払い戻し方法につきましては、詳細が決まり次第、あらためてお知らせいたしますので、
今しばらくお待ちくださいますよう、お願い申し上げます。
イープラスでの販売手数料(システム利用料、サービス料/1,100円)は、現にこうしてキャンセル→払い戻しの手続きをしてくれているわけですから、発生するのは仕方ないでしょう。
問題は中止になった行事のお土産セット代やらお弁当のキャンセル料を、「購入時の注意事項に基づき」チケット購入者に負担させるという発想です。
東京オリンピックの販売済みの入場チケットだって、当初は「購入時の注意事項に基づき」返金しないという話でしたが、国民の轟々たる非難を受けて
全額返金することになりました。
当たり前といえば当たり前な話で、主催者が中止を決めたイベントの参加料をユーザーに戻さないというのは、法律上はともかくモラルハザードそのもの。
諏訪大社に祀られている神様を寿(ことほ)ぎ、諏訪の観光促進の目玉にするはずの御柱祭が、一皮むけば「取れるところから取っておけ」だったということではありませんか。
もっとも、この日のために準備を進めてきた地元業者さんのご苦労を思えば、3月中旬に送られてくる「お土産セット」はありがたく頂戴して、その対価をチケット代から差っ引いてもらうのはまだ納得のいく話です。
にしてもです。
食べていない弁当のキャンセル料まで一括して徴収するというのは、やっぱりヘンじゃないでしょうか?
どうにも腑に落ちないので、メールに書いてあった下諏訪町御柱祭実行委員会事務局に電話で聞いてみました。
するとやっぱり! すでに多くのチケット購入者から苦情や抗議、問い合わせが寄せられているとのこと。事務局では協議の上、後日メールまたはホームページを通じて対応を発表すると教えてくれました。
「山出し」が人力で行われないのは1200年以上の歴史で初めてのことだそうで、主催者も混乱を極めているのでしょう。
7年後の御柱祭に禍根を残さないためにも、ここはきれいな判断を望みたいところです。
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テーマ : 信州
ジャンル : 地域情報