塩の道・南小谷=中土を歩いて“古民家ウォッチング”
安曇野の北、白馬村のさらに新潟寄りの山中に小谷(おたり)村があります。峠をひとつ越えると新潟県糸魚川市という、長野県北部の山間に位置する人口3000人あまりの雪深い村です。
以前、この村が村内の“眠れる古民家”を調査して、再活用しようというユニークな試みをスタートさせたと書きました(空き家の小民家を「シェアハウス」に。小谷村が動き出しました)。
実際、小谷村は古民家の宝庫で、私たちも暇を見つけては村内の“古民家ウォッチング”に足を運んでいます。
先日も、JR大糸線の中土(なかつち)駅から南小谷駅までの1駅区間を歩きました。
このあたりを南北に走る山道は、かつて「塩の道」と呼ばれ、塩を運搬するための産業道路でした。
今も往時の姿を留める古道が山のあちこちに残っています。
そんな古道を選んで、周辺の古民家をウォッチしようという趣向です。
今回のルートは、
中土駅-池原の棚田-フスベ-下里瀬-燕岩-雨中-南小谷駅
…片道およそ5キロの山道を選びました。
途中、何度か人里に下り、ふたたび山に分け入ります。山中には道しるべが、また人里には、ご覧のように道路表面にペンキで「塩の道」と書いてあったりするので、道に迷う心配はありません。
道中、いちばんの難所は「フスベ」。フスベとはどういう意味なのか不明ですが、切り立った崖っぷちの道が延々と続く隘路(あいろ)です。
大雨の後、しばしば地崩れが起きて通行不能になるそうですが、幸い、私たちは無事に通過できました。
トレッキングシューズを履いていれば問題なく歩けます。連れのチワワも自力で歩き通しました。
昔はこの細く険しい山岳路を、塩や海産物を背負った歩荷(ぼっか)さんや、塩を牛に牽かせて運んだ牛方(うしかた)さんが頻繁に往来していたのでした。
足を滑らせ、牛もろとも谷底に落ちていった牛方さんも少なくなかったといいます。
フスベの山側には、ここで命を落とした人や家畜への鎮魂のため、「南無阿弥陀仏」と刻まれた石碑が建っています。
少し緊張しながらフスベを抜けると、集落が見えてきました。小さな棚田が山肌に張り付くようにいくつも重なっています。
田んぼのそばに急傾斜の屋根をもった古民家が建っています。
あっちにもこっちにも、谷を隔てた山の向こう側にも、趣のある民家がよりどりみどり。思わず嬉しくなって写真をパシャパシャ撮りました。
きれいに手入れされている民家がある一方で、廃屋も目立ちます。
小谷村の調査では、空き家になっている古民家124軒のうち、手を加えれば再利用できそうな家が89軒あったそうす。
調査結果を踏まえて、村では賃貸や売買を希望する所有者と、移住・別荘利用を望む人を結ぶ「空き家バンク」制度の創設に向けて動き出しています。
古道の周辺に点在する棚田と古民家。これこそ日本の心の故郷と言ってもいいでしょう。
この風景が地域の宝として末永く残ることを祈らずにはいられません。小谷村の取り組みに心からエールを送りたいと思います。
以前、この村が村内の“眠れる古民家”を調査して、再活用しようというユニークな試みをスタートさせたと書きました(空き家の小民家を「シェアハウス」に。小谷村が動き出しました)。
実際、小谷村は古民家の宝庫で、私たちも暇を見つけては村内の“古民家ウォッチング”に足を運んでいます。
先日も、JR大糸線の中土(なかつち)駅から南小谷駅までの1駅区間を歩きました。
このあたりを南北に走る山道は、かつて「塩の道」と呼ばれ、塩を運搬するための産業道路でした。
今も往時の姿を留める古道が山のあちこちに残っています。
そんな古道を選んで、周辺の古民家をウォッチしようという趣向です。
今回のルートは、
中土駅-池原の棚田-フスベ-下里瀬-燕岩-雨中-南小谷駅
…片道およそ5キロの山道を選びました。
途中、何度か人里に下り、ふたたび山に分け入ります。山中には道しるべが、また人里には、ご覧のように道路表面にペンキで「塩の道」と書いてあったりするので、道に迷う心配はありません。
道中、いちばんの難所は「フスベ」。フスベとはどういう意味なのか不明ですが、切り立った崖っぷちの道が延々と続く隘路(あいろ)です。
大雨の後、しばしば地崩れが起きて通行不能になるそうですが、幸い、私たちは無事に通過できました。
トレッキングシューズを履いていれば問題なく歩けます。連れのチワワも自力で歩き通しました。
昔はこの細く険しい山岳路を、塩や海産物を背負った歩荷(ぼっか)さんや、塩を牛に牽かせて運んだ牛方(うしかた)さんが頻繁に往来していたのでした。
足を滑らせ、牛もろとも谷底に落ちていった牛方さんも少なくなかったといいます。
フスベの山側には、ここで命を落とした人や家畜への鎮魂のため、「南無阿弥陀仏」と刻まれた石碑が建っています。
少し緊張しながらフスベを抜けると、集落が見えてきました。小さな棚田が山肌に張り付くようにいくつも重なっています。
田んぼのそばに急傾斜の屋根をもった古民家が建っています。
あっちにもこっちにも、谷を隔てた山の向こう側にも、趣のある民家がよりどりみどり。思わず嬉しくなって写真をパシャパシャ撮りました。
きれいに手入れされている民家がある一方で、廃屋も目立ちます。
小谷村の調査では、空き家になっている古民家124軒のうち、手を加えれば再利用できそうな家が89軒あったそうす。
調査結果を踏まえて、村では賃貸や売買を希望する所有者と、移住・別荘利用を望む人を結ぶ「空き家バンク」制度の創設に向けて動き出しています。
古道の周辺に点在する棚田と古民家。これこそ日本の心の故郷と言ってもいいでしょう。
この風景が地域の宝として末永く残ることを祈らずにはいられません。小谷村の取り組みに心からエールを送りたいと思います。