壊れたアンティーク高機(たかはた)を修理しました
先日、塩尻の旧家から頂戴した高機(たかはた)を母屋の和室に組み立てて使い始めたんですが、バリバリ、ガタン!...変な音がしていきなり壊れました。
足元を覗き込むと、踏み棒のひとつが枠から外れて畳に転がっています。
棒を支える木枠の片方が折れて脱落したようです。
ずいぶん昔に一度折れたところを、バルサ材のように薄っぺらい板で応急処置してあったようです。厚みが足りなくて破断したのでした。
高機の前方、足元のあたりに写真のような歯車があります。「菊車(きくぐるま)」と言って、経糸(たていと)を常時ピンと張っておくためのギアです。
普段は◯の中のように歯車をロックさせ、経糸を動かないように固定します。
織り進んだら↑の棒を踏んで歯車を持ち上げ、菊車を1ノッチ動かして経糸を少し送ります。
機を織るうえでは欠かせない仕組みなんです。
反対側から見るとこんな感じ。
棒を手で持ち上げていますが、本来は足で踏みます。テコの原理で棒をアップダウンさせるわけですが、その支点になるU字型の溝の片側がポッキリ折れてしまったのでした。
力がかかる場所なのでしょう。十分厚みのある板で補強しないと、すぐにまた壊れてしまいそうです。
現代の高機であれば製造元から部品を取り寄せることもできますが、何しろ100年ぐらい経っていそうなアンティーク。
部品はすべて職人の手作りで、お取り寄せなんてあり得ません。
そこで薪ストーブの焚き付け用にストックしてあった木っ端のなかから、ちょうどよい厚みの古い板を探してきてノコギリで裁断。
その端切れを当ててみると...ピッタリです。
木ネジで止めてU字溝のアソビを調整。踏み棒を渡したら、いい具合にテコが効いて菊車が軽々と持ち上がりました。
これであと100年ぐらいは使えるかな?