日本の伝統家屋に暮らしてみて、日々、便利だなぁと実感するのが「
土間」と「
縁側」です。
土間については今日びかなりレアになってしまったので、あまり一般的とはいえませんが、縁側は今も新築のお宅で見かけるポピュラーな存在ですよね。
私たちも実際に使ってみて、じつに実用的で居心地の良いものだということを改めて実感しました。
我が家の縁側は軒下にめぐらした「
濡れ縁」です。南面と西面の二面に、ほぼ家を半周する形で取り付けられています。
家を買った当時はボロボロで、およそ半分が崩落していました。工務店にお願いして直せる場所は補強し、完全に落ちてしまったところは新たに造作してもらいました。
購入当時の濡れ縁。途中から崩落していました 新品の板と風雪に耐えてきた板とでは色味が違いすぎるため、再建部分にはグレーのラッカーで化粧を施して色を合わせました。
再建が終わって塗装前の濡れ縁。
手前と奥を新規に造作し、中央は残しました 完成した濡れ縁をいちばん先に喜んだのは、我が家のイヌ。夏の暑い時期を除くと、日の当たっている時間帯は、ほぼ縁側に寝そべって外を眺めています。
外気が零度近い真冬でも、よく晴れた日などは濡れ縁にうずくまって気持よさそうにしています。いくらなんだって寒いんじゃないかと思い、イヌの隣に寒暖計を並べて測ってみました。なんと!気温は零度ほどしかないのに濡れ縁の表面は15度! しかも“伏せ”の姿勢でいれば風は頭上を通りすぎていくので、ほとんど寒さを感じないらしいのです。
晴れの日は、だいたいこうやって寝そべっています 暖を求めてくつろぐのはイヌばかりではありません。私たちも日当たりの良い春と秋には、濡れ縁に座布団を敷いてごろりと横になり、本を読んだり昼寝をしたりして過ごします。編み物や縫い物にも最適です。
真冬も、お天気の日などは明らかに家の中より縁側のほうが暖かいので(古民家は寒いんです)、そちらに移動して過ごしています。
昼下がりには、ご近所のお年寄りがふらりとやってきて縁側に腰掛け、茶飲み話に花を咲かせていきます。縁側は肩肘の張らない、気のおけない場所で、みなさん遠慮なく立ち寄ってくださいます。
その他、木の実や野菜の天日干しをしたり、野良仕事の道具をちょっと置いたり、足の爪を切ったり、軒下に吊った物干し竿に洗濯物を干したりするのに、これほど便利なところはありません。
“内”とも“外”ともどっちともつかない、曖昧な良さに満ちた伝統の空間です。
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