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階段箪笥の“そっくりさん”がやってきた

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 我が家に階段箪笥の“そっくりさん”が届きました。

 先日、香典返しにいただいた商品カタログを眺めていたら、「民芸階段チェスト」というのが載っていたんです。

 一見すると伝統的な階段箪笥そのもの。ですが、サイズ表をよく見ると、

  ・幅67×奥行34.2×高さ70cm

 と書いてあります。人が上れるサイズじゃありません。

 「階段箪笥のミニチュアみたいなものかな? それならウチにも似合うかもしれないな」

 と思って注文したのが1ヶ月ほど前のこと。

 それっきり忘れていたら、先日、宅配便のお兄さんが重そうな荷物を抱えて玄関先に立っていました。

 段ボール箱を開けてびっくり。中から出てきたのは、かなり本格的な階段箪笥のミニチュア版でした。

 材質は天然の桐材。合板じゃないので、当然ながら木目もすべて天然です。

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 引き出しの滑りがよく、金具もしっかりしたのが付いています。

 表面のラッカー塗装もムラのないきれいな仕上がりです。

 さっそく囲炉裏のある板の間に、漆喰壁を背にして置いてみました。

 すると、なんだか以前からこの家にあった調度品のように、すぐに周囲に溶け込んでしまいました。

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 写真だと本物の階段箪笥と間違われかねないので、いちばん上の段にチワワに乗ってもらいました。ミニチュア感といいましょうか、全体の大きさ(小ささ)をご理解いただけるのではないでしょうか。

 期待していなかった分、クォリティの高さにびっくり。大切に使っていこうと思います。

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古民家の階段は奇数?

 名古屋在住の「大工のおっちゃん」のホームページ『日曜大工お助けマン 私は小さな建築屋』に、面白いことが書いてありました。

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階段について昔親方から聞いたお話です(あまり参考にならないお話かも?)

■階段の段数は、奇数が良いと言われてました(13段が上がり易い場合が多くありますが)
日本人でも13段上がりは縁起が悪いなど理由で、嫌うようなので普通一般住宅の場合偶数になっても14段又は12段が多いようです。

■玄関から正面直に上がる階段は作らない、などい多々(注・原文ママ)大工修行中には聞かされましたが皆さんのご意見も聞かせてください。※以上の寸法箇所は(センチ値ではなく寸/分で計ります)

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 プロフィールによれば「大工のおっちゃん」は、軸組工法を修行した木造大工職人さんだそうです。

 伝統工法を受け継ぐ町屋大工さんの間では「階段は奇数に」「玄関から正面向きに階段を設けない」ということが、親方から弟子に伝承されてきたというのです。

 ただ、その理由は「大工のおっちゃん」にもわからないようです。合理的な説明はつかないのかもしれません。

 しかし、そこには何がしかの昔の人の知恵が隠されているとも考えられます。

 面白いなぁと思いつつ、我が家の階段を眺め直しました。

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 段数は9段。奇数です。

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 玄関に背を向ける形で取り付けられています。正面には向いていません。

 「へぇ~、大工さんの言い伝えどおりに作られているんだ」と妙に感心してしまいました。

 “古民家の隠された記号”というと大袈裟すぎますが、案外、こんなところにも伝統が息づいているのかもしれませんね。

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階段が急勾配なのは昔の人の足が小さかったから?

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 「古民家の階段はどうして急勾配なんだろう?」の項で、昔の日本人は「急な階段のほうがいい」と本気で思っていたのではないか?…ということを書きました。

 そのいちばんの理由は「足のサイズがとても小さかったから」ではないか、と近頃、思うようになりました。

 調べてみると、日本人の体格がもっとも小さかったのは意外にも江戸時代~明治初頭なんだそうです。

 社団法人日本酪農乳業協会という団体のホームページに、縄文時代から現代に至る女性の平均身長を比較した面白いグラフが載っていたので、ここに転載させていただきます。

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日本人の身長の変化(女性)
●縄文~弥生時代は、各地域の平均推定身長
●古墳~江戸時代は、関東出土の人骨より算出
●明治33年以降は、文部科学省(旧文部省)の生体計測資料より
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 これを見ると、江戸時代の女性の平均身長は143センチだったことがわかります。一世を風靡したアイドル・ユニット「ミニモニ」の矢口サンが145センチ、加護チャンが147センチ、辻チャンが148センチだったそうですから、江戸時代の女の人はミニモニよりさらに小さかったわけです。

 では、身長が143センチの日本人の足のサイズはいくつかというと、「くらしとJISセンター」というところが集計した「人体寸法個人データ」という資料から、およそのことがわかります。

 このデータは、日本人の青年男女217名(男110名、女107名)の人体のいろいろな部位を実際に測ってまとめたものです。

 そこから足のサイズを拾い出して見やすく整理したサイトがあったので、そちらを参考にさせてもらいました。

 それによると、身長142.5~147.4センチの女性の足長は、平均21.8センチ

 築150年以上の我が家が新築された当時、ここに住む女性たちはミニモニよりも小さく、足もお子ちゃま並に小さかったのです。

 男性の身長や足のサイズも推して知るべしでしょう。つまり、江戸時代の日本人にとって、階段の踏面(ふみづら=ステップ部分の奥行き)が深いと逆に上がりにくかったのではないでしょうか。

 下の写真は靴サイズ25・5センチの“現代人”の足を踏面に載せてみたところです。踵が半分、はみ出しています。

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 しかし江戸時代の人たちにはジャストサイズで、これぐらいがちょうど具合がよかったに違いありません。

 踏面を浅くして蹴上(けあげ=段差)を多少、大きめにすれば、階段スペースは劇的に少なくてすみます。

 江戸時代の人たちは現代人より胴長短足だったでしょうから、階段の上がり下りに大股を開かなければならなかったとは思いますが、足が短いので重心が低く、むしろ現代人より安定して昇降できたはずです。

 やっぱり、昔の日本人は「急な階段のほうがいい」と本気で思っていたのだと思います。

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古民家の階段はどうして急勾配なんだろう?

 二階建ての古民家に上がったことのある方ならご承知と思いますが、昔の家屋というのは、とにかく階段の勾配がきついんですよね。

 分度器を当てて測ったことがないので正確にわかりませんが、実感値としては現代の戸建てに比べて2~4割程度、急傾斜になっている気がします。

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我が家の階段です

 現代の建物は「建築基準法施行令」という法律によって、幅75センチ以上、踏面(ふみづら=ステップ部分の奥行き)15センチ以上、蹴上(けあげ=段差)23センチ以下と決められています。

 ただし、この規定ギリギリに作ると斜角56度という相当な急階段ができあがってしまうため、実際には踏面24センチぐらい、蹴上18センチぐらいで施工するのだそうです(斜角36度程度)。

 また施工の際には、手すりの設置も義務付けられています。

 振り返って我が家の階段を見てみると、幅こそ75センチ以上ありますが、踏面は狭いは蹴上が高いは手すりは無いは…まさに“アンチバリアフリーの権化”のような拵(こしら)えです。

 引っ越し当初は昇り降りが怖くて仕方ありませんでした。今は歩き方のコツを掴んだのでさほどではありませんが、それでも夜間やほろ酔い気分の時には利用しないように心がけています。

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階段の前に立つと壁のようです

 一体、昔の人はどうしてこんなに階段を急勾配にしつらえたのでしょうか?

 ものの本には、日本家屋にとって二階は“添え物”に過ぎず、利用頻度が低かったため階段スペースを極力、狭くして一階の有効利用を図った、なんてことが書いてあります。

 でも、本当にそうなのでしょうか?

 たとえば我が家。今でこそ二階はあまり使っていませんが、かつては立派な本床を備えた十畳間がふたつ、ど~んと控えていました。

 最初は客間として、その後、養蚕が盛んになってからは二階に蚕棚を置いて“お蚕(かいこ)”部屋として大いに活用したようです。

 当然、家人は階段を頻繁に昇り降りしたはずです。両手に荷物を抱えて駆け上ったり、下ったりしたにちがいません。よくまあ、足を滑らせなかったもんだと感心するばかりです。

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2階お踊り場から見下ろしたところ

 我が家のような百姓家ばかりではありません。先日、泊まった大妻籠の築150年以上の宿屋・丸屋さんの階段も、それこそ奈落に落ちるような急傾斜でした。

 丸屋さんは江戸時代の旅籠の建物を大切に使っていらっしゃいます。旅籠にとって階段は旅人を客室に案内するのに必須の存在です。導線上の“大動脈”といってもいいと思います。

 それが思わずヒヤリとさせられる急勾配なんですから、不思議としか言いようがありません。

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丸屋さんの階段。我が家とまったく同じ急勾配です

 あえて言うならば、昔の日本人は「急な階段のほうがいい」と本気で思っていたのではないでしょうか?

 階段をめぐるこの日本人の嗜好については、改めて考えてみたいと思います。

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プロフィール

あづみ

Author:あづみ


都会から安曇野の古民家に親子3人で移住しました。夏涼しく、冬は想像を絶する寒さですが、ハラを括って暮らせば何とかなるものです。

その後、縁あって畑付きの田舎家をゲット。現在は山中の古民家と里の家とを行き来する日々です。

安曇野に興味のある方、また古民家に暮らしたいと思っていらっしゃる方、よろしかったらお立ち寄りください。

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