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安曇野北アルプス展望のみちに謎の「ネコ地蔵」。一体これは?

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 先日、友人と「安曇野北アルプス展望のみち」をウォーキングした時のこと。

 あづみ野池田クラフトパークを出発して大町方向へ数キロ行ったあたりで、ふと路傍のお地蔵さんに目が留まりました。

 ご存じのように、安曇野には道祖神や庚申塚(こうしんづか)、そして大小さまざまなお地蔵さんが、それこそ星の数ほど点在しています。

 「安曇野北アルプス展望のみち」にも、こちらの双体道祖神(そうたいどうそじん)のような“小さな守り神”が道ばたのあちらこちらにぽつん、ぽつんと立っているんですね。

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 でも、今回出会ったのはそれとは違う、ちょっと異色なお地蔵さん?…正確には招き猫の置物なのでした。

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 排水溝のフタの上。二体のネコがニコニコ笑って手を上げています。

 壮大な北アルプス連山をバックに、日光を浴びてなにやら楽しそうです。

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 いつ、どなたが置いたものかわかりません。

 しかし、飴やお菓子がきちんとお供えしてあるところを見ると、きっと地元では“ネコ地蔵”としてすでに定着しているのでしょう。

 ちょっと癒やされる風景でした。
 

安曇野北アルプス展望のみち





  



テーマ : 信州
ジャンル : 地域情報

「庚申さま」を知っていますか?

 数日、家を留守にして帰宅したある晩のこと。集落のクルマが里のほうからぞろぞろ帰ってくる気配に驚いて、留守中、何かあったのかとご近所に電話しました。

「ああ、今日はコウジンサマだったのさ。さっき終わってめいめい家に帰ったところ」

「コウジンサマ? 何ですか、それ?」

 思わず聞き返すと、

「コウジンサマはね、農業の神様なのよ。今年も豊作でありますように、と祈ってお神酒を差し上げてね、みんなで宴会をしたのさ」

 どうやら農家に古くから伝わるしきたりらしい、ということがわかりました。

 数日後、コウジンサマの当番が回ってきたというお宅にお邪魔して、コウジンサマの何たるかを説明していただきました。

 まず、見せてもらったのが、この年代物の掛け軸?と「庚申仲間」と書かれた帳面です。

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 帳面の表題を見て、コウジンサマが「庚申さま」だと判明しました。

 具体的に何をするのかというと、年に6回めぐってくる庚申の日に集落の人たちが集まって、この掛け軸にお神酒や料理をお供えして祈り、その後、宴席を設けるのだそうです。

 ただ年6回も同じようにすると大変なので、年2回はきちんと行ない、後の4回はさっと済ますという話でした。

 今は集落の集会所や近くの宴会場を借りるそうですが、10年ぐらい前までは、当番になった家に近隣から三々五々、集まってきて、夜を徹して行なったといいます。

「みんな枕持参で集まるのよ。そんでもって酒盛りして、眠くなったらゴロリと横になってひと休み。目が覚めたらまた飲む。いやあ、当番の家はそりゃ大変な負担だったもんだよ」

 枕持参で徹夜の宴会とは! いやはや、とんでもない風習が残っていたもんだと驚き呆れました。
 
 家に帰って調べてみたら、庚申さまとは中国の道教に密教や神道、修験道、呪術的な民間療法などが混じり合ってできた、古い古い信仰なのだそうです。

 庚申とは暦の「十干(じっかん)」と「十二支(じゅうにし)」の組み合わせによって、年に6回現れる日で、“冷酷・陰気”が満ちるらしいのです。

 この日、人間の頭と腹と足にいて人が悪事をしないように見張っている「三尸の虫(さんしのむし)」という虫が動き出し、人が眠っているすきに天上界に上って、天帝にその人の行状のすべてを逐一報告すると考えられていました。

 三尸の虫の報告次第では、寿命が縮んだり、死後に地獄や餓鬼、畜生の“三悪道”に堕ちたりする恐れがあります。

 そこで、庚申の日は虫が体内から抜け出さないよう徹夜すればいい、ということになり、村人が集まって朝まで飲み明かす「庚申講(こうじんこう)」の風習が生まれたのだそうです。

 庚申講では、道教と仏教がミックスして誕生した青面金剛(しょうめんこんごう)を祀ります。青面金剛は4本の手を持ち、邪鬼を踏んづけて立っています。多くの場合は三尸の虫の“告げ口”を封じるために、「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿を従えているのだそうです。

 そこで改めて地元に伝わる掛け軸を眺めると、なるほど! 立派な身なりをした4本腕の大男が邪鬼を踏んづけて屹立しているではありませんか!

 しかも、一番下には「見ざる、聞かざる、言わざる」が胡座をかいています。

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 紛れもなく、この大男は青面金剛です。数百年前から続くという庚申信仰が、ここ安曇野の山間の里で今も守られていたんですね。

 興味深いのは、「庚申仲間」と書かれた帳面です。昭和10年から現在まで、庚申講を開いた日と当番の家、集まった人々の名前が見事な筆致で記録されています。

 長い年月の間、絶えることのなかった民間信仰の歴史が今に残っている姿に、驚きと感動を覚えた次第です。


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高橋地蔵と雅(まさ)地蔵

 安曇野といえば、男女の神様が手に手を取って仲睦まじく立っている双体道祖神の石像が有名ですが、じつは道祖神のほかにもたくさんのお地蔵さんや仏像、祠があります。

 道端や里山で、草に埋もれたお地蔵さんにひょっこり出くわすと、なんとも言えずほのぼのした気持ちがしてきます。

 そんな安曇野の石像のなかでも、最近、私たちが密かに気に入っているのがこちらの二体のお地蔵さん。とある里山の竹林の陰にひっそりと佇んでいます。

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 かなり年季が入っていますが、おふたりとも活き活きとしていてどこかモダンで、どこか飄々とした表情です。

 向かって左のお地蔵さんは俳優の高橋克実さんに、右のお地蔵さんはお笑いのトミーズ雅さんにウリふたつだと思いませんか?

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高橋克実地蔵(左)とトミーズ雅地蔵(右)

 訪れる人もほとんどいない山の中で、高橋地蔵と雅地蔵は衆生の息災を願って今日も風雨に耐えています。


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毘沙門天立像が戻ってきました!

毘沙門天(びしゃもんてん)立像
盗まれる前に撮影した木造毘沙門天立像です

 「安曇野の“県宝”が盗まれました!」でお伝えした池田町広津地区の仏像「木造毘沙門天立像(もくぞうびしゃもんてんりつぞう)」が、先日、県外で“発見”され、町に返還されていたことがわかりました。

 盗まれた仏像は、平安時代後期の作とされるヒノキ材の一木造りで、高さおよそ111センチ。長野県の県宝にも指定されている貴重な文化財です。

 2月10日に仏殿の鍵が壊され、安置してあった厨子の中から持ち去られていることに住民が気づき、大騒ぎになりました。

 それから10日あまりたった2月下旬、県外に運び出されていたところを発見され、密かに返還されていたのです。仏像に目立った損傷はなかったそうです。

 地元・大町署は、捜査中の事件なので発見場所や発見の経緯は明かせないとしていますが、どうやら仏像を譲り受けた“善意の第三者”が、盗品と気づいて連絡してきてくれたおかげで、発見に至ったらしいのです。

 毘沙門天発見のニュースに、地元の方々は「奇跡だ」と喜び合っています。あるおばあさんは、仏像が見つかったのは毎日、自分が欠かさず「見つかりますように」とお祈りを捧げたからだよ、と嬉しそうに言っているそうです。

 このブログでも、みなさまに情報提供を呼び掛けさせていただきましたが、毘沙門天立像は無事、戻ってきました。ありがとうございます。

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盗まれた毘沙門天の仏殿に残されていた2枚の“証拠写真”

被害に遭った仏殿
被害に遭った仏殿

 安曇野の貴重な文化財で長野県の県宝にも指定されている毘沙門天(びしゃもんてん)の立像が盗まれたことは、「安曇野の“県宝”が盗まれました!」に書いたとおりです。

 主のいなくなった仏殿に駆けつけた私たちは、がらんとしたコンクリート製の建物の内壁に、額装された2枚の古い写真が立てかけてあるのに気づきました。

 見るとそれは、毘沙門天が昭和46年にここへ安置された際の記念写真でした。

 元々、毘沙門天の立像は安曇野の奥山のお堂にあったのですが、地すべりやら火災やらで住処を失い、土地の人たちによってもう少し里に近い今の場所へ移されたのです。

 色褪せたカラー写真には、元のお堂から旅に出る直前の毘沙門天が男衆に囲まれて写っています。もう1枚のモノクロ写真は、住職さんの先導のもと、白い布に包まれた毘沙門天が担がれて運ばれていく姿を捉えたものです。

仏殿に残されていたカラー写真
仏殿に残されていたカラー写真

こちらはモノクロ写真
こちらはモノクロ写真

 2枚の写真は、この仏像が地元の方々にとってどれほどかけがえのない宝物であるかを静かに物語る“証拠写真”でした。

 こころの拠り所を失った土地の人びとの絶望を思うと、心が張り裂けそうです。

 今は仏像の無事を祈るばかりです。

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安曇野の“県宝”が盗まれました!

仏像が奪われた厨子
仏像が消えた厨子

 2月10日、安曇野で文化財の盗難事件が勃発しました。

 エジプトで、大統領追放劇のどさくさにツタンカーメン像が盗まれましたが、ちょうど同じ頃、安曇野でも長野県の“県宝”に指定されている歴史的な彫像が盗難の被害に遭ったのです。

 全国紙には報じられませんでしたが、安曇野を震撼させる大事件でした。

 以下は地元紙「市民タイムス」の記事です(○印は原文では実名になっています。私たちの配慮で伏字にしたことをお断りしておきます)。

事件を伝える『市民タイムス』の記事
事件を伝える『市民タイムス』の記事

 県宝の仏像 盗まれる
 池田広津 住民管理の安置堂から


 10日午後1時20分ころ、池田町広津の住民から、広津○○○地区の仏殿に安置されている県宝の木造毘沙門天(びしゃもんてん)立像が盗まれている、との連絡が町教育委員会にあった。平安後期に制作されたとされる高さ111センチの木像で、町教委から通報を受けた大町署は盗みの疑いで捜査している。
 大町署や町教委、地元住民によると、仏殿に施錠してあった二つの鍵が切断されるなどして壊され、室内に足跡があった。仏殿は○○○○にあり、近くの住民が建物の周囲を雪かきした7日は異状がなく、7日から10日にかけて盗まれたとみられる。
 町教委が平成15年に発行した冊子『池田町の文化財』によると、毘沙門天はヒノキの一本造りで、左手に法燈(ほうとう)を掲げ、右手で宝棒(ほうぼう)を握り、両足で天邪鬼(あまのじゃく)を踏んで邪悪を押さえている。地元住民でつくる崇敬会が管理し、昭和45年に町文化財に指定された翌年に像の修理と仏殿を新築した。昭和52年に県宝に指定された。
 毎年5月には八十八夜法要が営まれるなど住民の信仰は篤く、池田町では唯一の県宝となっている。
 崇敬会の○○○○さん(85)は「不心得者がいて困る。早く見つかってほしい」と願っていた。(2月11日付「市民タイムス」)


 記事で被害を知った私たちは、さっそく仏殿を訪ねました。

 新聞の報道のとおり、ふたつあった鍵が壊され、ひとつは床に落ちていました。厨子に納められていた毘沙門天の姿はなく、これまで仏像に遮られて見えなかった厨子の背面が、空しくきらきらと金色に輝いていました。

被害に遭った仏殿です
被害に遭った仏殿です

扉の上下に付いていた鍵が壊されました
扉の上下に付いていた鍵が壊されました

こじ開けられた正面扉
こじ開けられた正面扉

 許しがたい犯罪です。毘沙門天は地元の方々から篤く信仰され、文字どおり宝物として扱われてきたのです。

 コンクリート製の仏殿の周辺は掃除が行き届き、紅葉の季節に落ち葉が散り敷く暇もないほど、律儀に掃き清められていました。

 桜の季節には紅白の横断幕を張って、地元のおじさん、おばさんたちが近くの寺から住職さんを呼び、法要を行っていました。その法要の席では、ひとりひとりが和歌を詠み、毘沙門天に奉納していました。そんな典雅な風習が、現代に受け継がれていたのです。

 県宝である以前に地域のこころの拠りどころだった神様を、どこかの半端者が持ち去ったのです。

 怒りに気が狂いそうです。

 以前、私たちが撮影した毘沙門天の写真がこちらです。万一、どこかの店先やオークションサイトなどで、この仏様を見かけた方は、ぜひご一報ください。なんとしても取り返したいのです。
 
毘沙門天(びしゃもんてん)立像
万一、どこかで見かけたら、ぜひご一報を!

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プロフィール

あづみ

Author:あづみ


都会から安曇野の古民家に親子3人で移住しました。夏涼しく、冬は想像を絶する寒さですが、ハラを括って暮らせば何とかなるものです。

その後、縁あって畑付きの田舎家をゲット。現在は山中の古民家と里の家とを行き来する日々です。

安曇野に興味のある方、また古民家に暮らしたいと思っていらっしゃる方、よろしかったらお立ち寄りください。

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