サクラの枝を燃やして家を“燻蒸”しました

サクラの枝を燃やしました
家の中が冷え切ってしまったので、朝から囲炉裏に火を熾しました。囲炉裏は暖房器具としてはあまり期待できませんが、それでも火が赤々と燃え上がると、周囲2メートルぐらいの空気がほんのりと温(ぬく)んできます。
我が家では週に一二度、こんなふうに用もないのに囲炉裏に火を熾して、半日から丸一日、火種を絶やさないようにしています。
その理由は、おもに“燻蒸(くんじょう)”です。薪を燃やすと白い煙がもうもうと立ち上がり、タールの成分が茅葺屋根や柱に沁み込んで、防虫、防水の役割を果たします。古民家の天井や柱が漆黒なのは、そのせいなんですね。いわば囲炉裏を使って家全体を燻製にしているわけです。
古民家にとって囲炉裏の煙は、養命酒ならぬ“養命煙”なのです。
今日は去年、裏山から切り出したサクラの枝を燃やしました。白煙がモクモクと立ち上り、あっという間に土間から屋根のてっぺん付近にまで達しました。

白煙がモクモクと立ち上ります

土間に煙が充満して…

屋根のてっぺん付近にまで達しました
目を開けていられないほどの濃い煙です。燻蒸しているのを知らずに居室側から襖を開けて囲炉裏部屋に足を踏み入れた娘は、ゴホゴホ咳き込み、涙を流して驚いていました。
煙が一段落すると、灰の真ん中にオレンジ色の美しい火種ができあがります。薪を少しずつ足して燃やし続け、火種を守ります。
そうやって無心に囲炉裏に薪をくべていると、遠い昔にタイムスリップしたような、遥かな気持ちがしてきます。
こんな時間が囲炉裏の醍醐味なのかもしれません。



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