北アルプスに沈む夕日を眺めながら浸かる露天風呂。「シェーンガルテンおみ」は絶景でした
長野自動車道で安曇野インターから1つ千曲市寄りに麻績(おみ)インターがあります。安曇野から約23キロ。インターを降りると、人口3000人弱の山里・麻績村に出ます。
「麻績」とは「麻(あさ)をつむぐ」という意味です。村のホームページに村長さんがお書きになっているところによれば、大和朝廷に招かれた高麗からの帰化人が、この地で麻をつむいだことにちなむそうです。
なぜこんな山の中で、わざわざ朝廷に献上する麻をつむいだのでしょうか。それは、周囲を山に囲まれて強い風が吹かない土地柄が、麻の栽培に適していたからだ…という話を、以前、何かの本で読んだことがあります。
それほど深い山の中なんですね。
それはさておき、麻績村には村営の温泉施設が2箇所あると聞いて、秋も深まった昨年末に、そのうちのひとつ「シェーンガルテンおみ」を訪ねました。
「シェーンガルテンおみ」は20年ほど前にオープンした村営宿泊施設で、周囲を広々した庭園に囲まれています。「シェーンガルテン」とは「美しい庭」という意味だそうです。
フロントで料金(大人300円!)を払い、土産物コーナーを抜けて浴室に向かいました。
内湯と露天風呂のシンプルな構成です。ジャグジーも打たせ湯も寝湯もありません。もちろんサウナも付いていません。
ですが、ここの最大の魅力は露天風呂からの眺め。
正面はるか彼方に北アルプスの山々が横一列に聳え立ち、その手前には1000メートル級の低山が幾重にも連なっています。
夕刻、西の空が朱に染まり出すと、北アルプスの峰峰が紺色のシルエットを作って夕日に照り映えるのです。その壮大な夕焼けを背に、太陽が蓮華岳に沈んでいきます。
まさに絶品の夕景です。「信州のサンセットポイント百選」にも選ばれただけのことはあるな、と感動しながら浸かる露天の湯は、結構この上ありません。
泉質は単純泉。13.2度の源泉を常時加温して循環させています。いわゆる“鉱泉加熱タイプ”の温泉ではありますが、加水していないせいかすべすべ、ツルツルした感触を楽しめます。
水温が内湯/露天とも42度弱に設定されているのもありがたく、長く気持ち良く浸かっていられます。
これだけの風景を楽しめて300円とは、はっきり言って超お得。長野道からも近く、アクセス良好です。安曇野方面に旅したら、ぜひ、ついでに立ち寄ってみてください。